今村祐嗣のコラム
接着剤混入法
単板やパーティクル、あるいはファイバーという小さなエレメントを積層する木質材料では、性能向上を目的とした特異的な処理法を導入することが可能である。接着剤中に防腐剤や防虫剤などの保存薬剤を混入し、接着時にエレメントの方へ移行することを期待する接着剤混入法は、実際の製造ラインに導入しやすい方法で、エネルギーや工程時間に何ら負担を強いることはない。しかしこの場合も、薬剤と接着剤の混和性、熱圧時と堆積時の揮散と分解の防止、など注意すべき点もある。合板では、接着剤混入法による防腐・防虫処理が実用化され使用環境に対応した薬剤量の設定も行われてきているが、その他のボードについても今後技術の確立を進めていくべきであろう。