台湾は中央部を回帰線が横切っている亜熱帯の島である。 3000m以上の山100座以上ももっていることもあって植物は多種多様である。
台湾で巨樹の調査が本格的にはじまったのは1990年の台湾省政府農林省による郷間(平地)におけるものからとされている。
その目的は数百年から数千年も生きてきた貴重な生物を守るため、そしてそれらと人間とのかかわり(風習等)を守るためである。
巨樹、老樹としての調査としての条件は日本と少し異なり次のようである。
(1) 胸高直径が1.5m以上(周囲4.7m以上)この調査の結果、該当するものは900本あったとされている。
樹種としては茄冬(Bischofia Javanica)、樟樹(Cinnamomun camphora)、榕樹(Ficus microcarpa)、楓香(Liguidambar formosana)、芒果(Mangifera indica)などで多い。
樹令の高いものとしては信儀郷の樟樹(樹令1500年、樹高50m、直径5m)や埔里鎭の茄冬(樹令1000年、樹高17m、直径1.8m)などがある。
台湾では神木がよくみられ、一般にはそれは雌木で赤いひもや衣がまかれていることが多いという。
神木、老樹にかかわる風習が多くみられ、その中には女性が神木に登ることが禁止されているもの、我子を老樹の養子にしてもらい安全に元気に育つことをお願いしたりするものなどがある。
山岳地帯の巨樹、老樹の調査は郷間(平地)のそれより後になってからである。
台湾の山岳地帯は谷が深く急傾斜面のところが多い。そして雨量が多く緑の豊かなところが多い。
このような森林には特に紅桧の巨樹、老樹が多くみられる。
紅桧(Chamaecyparis formosensis Mutsum)はヒノキ属に属し、標高2000m前後に分布し、台湾の阿里山などに世界有数の美林を形成しているという。
紅桧の巨樹、老樹の主なものをみると次のようなものがある。
(1) 司馬庫斬の神木
樹令2500年、台湾で4番目に大きい神木
(2) 達観の5号巨木
樹令2500年、達観で最大の樹令をもつもの
(3) 観霧の1号巨木
樹令2000年
(4) 観霧の2号巨木
樹令2000年
山岳地帯の巨樹、老樹の樹形はいろいろと変化に富んでいる。
通直で著しく樹高の高いもの、直径のわりに樹高が低くずんぐりしたもの、複雑で異様な樹形をしているものなどさまざまである。奇形を呈しているものをみると、生育している急斜面でぶらさがっているような状態のもの、台風などで幹が破損したもの、折損又は病虫害で損傷をうけたところから萌芽枝が形成され幹となったもの、気根が形成され巨大化したもの、損傷部に落下した種子が発芽し生育したもの、つまり、二代木のようなもの、これらが単独又は複合したものなど実にさまざまである。
紅桧の神木
場所 司馬庫斯
樹齢 2500年
台湾で2番目に大きい神木