アケビ |
木魂 |
304 |
アケビ |
どこにはアケビの蔓があって、どこには山の芋が埋まっている。 |
ウメ |
人の顔 |
92 |
梅の木の枝 |
お隣りのお土蔵の壁だの、おうちの台所の天井だの、お向家の御門の板だの、梅の木の枝だの、木の葉の影法師だのをヨ――ク見ていると、いろんな人の顔に見えて来てよ。 |
ウメ |
あやかしの鼓 |
380 |
梅 |
青々とした八畳敷の向うに月見窓がある。外には梅でも植えてありそうに見える。 |
ウルシ |
ドグラ・マグラ上 |
309 |
漆のような |
どこがドコやら、何が何やらわかりませぬ。漆のような闇黒な場面で御座います。 |
ウルシ |
ドグラ・マグラ上 |
310 |
漆のように黒く |
正木博士撮影の「天然色、浮出し、発声映画」のフィルムはただ、漆のように黒く、時の流れのように秘やかに流れて行くばかり |
エノキ |
木魂 |
304 |
大榎 |
二股になった幹の間から桜の木を生やした大榎はどこの池の縁に立っているという事まで一々知っていたのは恐らく村中で彼一人であったろう。 |
カキ |
いなか、の、じけん |
206 |
柿の樹 |
お邸の裏手から、山へ這入るところに柿の樹と、桑の畑があったが、梅雨があけてから小作人の一人が山へ行きかかると、 |
カキ |
いなか、の、じけん |
206 |
柿の樹 |
梅雨があけてから小作人の一人が山へ行きかかると、そこの一番大きい柿の樹の根方から、赤ん坊の足が一本洗い出されて、 |
カシ |
あやかしの鼓 |
346 |
赤樫 |
あやかし」という名前はこの鼓の胴が世の常の桜や躑躅と異ちがって「綾になった木目を持つ赤樫」で出来ているところからもじったものらしい。 |
カシ |
あやかしの鼓 |
349 |
赤樫 |
あれは宝の木といわれた綾模様の木目を持つ赤樫の古材で、日本中に私の鑿(のみ)しか受け付けない木だ。 |
カシ |
あやかしの鼓 |
352 |
赤樫 |
胴の模様は宝づくしで材木は美事な赤樫だ。 |
カシ |
あやかしの鼓 |
354 |
樫 |
胴もお見かけはまことに結構に出来ておりますが、材が樫で御座いますからちょっと音(ね)が出かねます。 |
カシ |
あやかしの鼓 |
384 |
赤樫 |
久能張(くのうばり)のサミダレになった鉋目(かんなめ)がまだ新しく見える胴の内側には、蛇の鱗ソックリに綾取った赤樫の木目が目を刺すようにイライラと顕(あら)われていたからである。 |
キリ |
あやかしの鼓 |
381 |
桐 |
その下に脚の細い黒塗りの机があって、草色の座布団と華奢な桐の角火鉢とが行儀よく並んでいる。 |
キリ |
あやかしの鼓 |
394 |
桐 |
真中に鉄色のふっくりした座布団が二つ、金蒔絵をした桐の丸胴の火鉢、床の間には白孔雀の掛け物と大きな白牡丹の花活(はないけ)がしてあって、丸い青銅の電気ストーブが私の背後うしろに真赤になっていた。 |
キリ |
あやかしの鼓 |
405 |
桐 |
そのお膳や椀には桐の御紋が附いていた。 |
キリ |
ドグラ・マグラ上 |
273 |
桐の木 |
まんなかに桐の木が五本ほど、黄色い枯れ葉を一パイにつけて立っております。 |
キリ |
ドグラ・マグラ上 |
273 |
この桐の木 |
この桐の木はズット以前からここに立っておりまして、本館の中庭の風情となっておったもので御座いますが、 |
キリ |
ドグラ・マグラ上 |
274 |
この桐の木 |
あるいはこの桐の木が、かような思いがけないところに封じ込られたために精神に異状を呈したものではないかとも考えられるのでありますが、 |
キリ |
ドグラ・マグラ上 |
276 |
桐の落葉 |
桐の落葉、松の枯枝、竹片、瓦の破片なぞ |
キリ |
ドグラ・マグラ上 |
276 |
桐の木の根方 |
その女が前を横切るたびごとに、桐の木の根方(ねもと)に土下座をして、 |
キリ |
ドグラ・マグラ下 |
133 |
桐の木 |
解放治療場のまん中に立った五六本の桐の木の真青な葉が、真夏の光りにヒラヒラと輝いている。 |
キリ |
ドグラ・マグラ下 |
134 |
桐の葉 |
解放治療場中央の桐の葉にチョイチョイ枯れた処が見える。その周囲の場内の平地の処々にまっ黒く、墓穴のように砂を掘り返したところが、重なり合って散在している。 |
キリ |
ドグラ・マグラ下 |
175 |
桐の木 |
ただ、枯れ葉をつけた桐の木が五六本立っているきりだ |
キリ |
ドグラ・マグラ下 |
325 |
桐の木 |
そのまん中の枯れ葉を一パイに着けた桐の木……? |
クチナシ |
ドグラ・マグラ下 |
90 |
梔子 |
私はそれから裏口の梔子の陰に莚(むしろ)を敷きまして、 |
クチナシ |
ドグラ・マグラ下 |
90 |
梔子の枝越しに |
そこから梔子の枝越しに、離家の座敷の内部が真正面に見えますので |
クワ |
いなか、の、じけん |
206 |
桑の畑 |
お邸の裏手から、山へ這入るところに柿の樹と、桑の畑があったが、梅雨があけてから小作人の一人が山へ行きかかると、 |
ゴヨウマツ |
ドグラ・マグラ上 |
316 |
五葉の松 |
眼も眩(まば)ゆい春霞と、五葉の松の刺繍を浮き出させた裲襠(うちかけ)、紫地、羽二重の千羽鶴 |
サクラ |
悪魔祈祷書 |
64 |
サクラ(偽客) |
ですから一人もお客様がお見えにならないと手前が自分でサクラになってノソノソ降りて行きまして、 |
サクラ |
あやかしの鼓 |
346 |
桜 |
あやかし」という名前はこの鼓の胴が世の常の桜や躑躅と異ちがって「綾になった木目を持つ赤樫」で出来ているところからもじったものらしい。 |
サクラ |
いなか、の、じけん |
231 |
桜 |
ちょうど桜がチラチラし初めて、麦畑を雲雀がチョロチョロして、トテモいい日曜の朝のこと。 |
サクラ |
木魂 |
304 |
桜の木 |
二股になった幹の間から桜の木を生やした大榎はどこの池の縁に立っているという事まで一々知っていたのは恐らく村中で彼一人であったろう。 |
サクラ |
木魂 |
331 |
山桜 |
線路の向うの自分の家を包む山の斜面の中程には、散り残った山桜が白々と重なり合っていた。 |
サクラ |
あやかしの鼓 |
364 |
桜 |
麻布笄町の神道本局の桜が曇った空の下にチラリと白くなっていた。 |
サクラ |
あやかしの鼓 |
383 |
波 |
胴の模様もこの通り春の桜、夏の波、秋の紅葉、冬の雪となっていて、その時候に打つと特別によく鳴るのです。打って御覧なさい」 |
サクラ |
あやかしの鼓 |
384 |
桜 |
と御挨拶なしに賞めつつ私は秋の鼓、夏の鼓と打って来て、最後に桜の模様の鼓を取り上げたが、その時何となく胸がドキンとした |
サクラ |
あやかしの鼓 |
399 |
桜 |
そうしてイキナリ眼の前の桜の蒔絵(まきえ)の鼓に手をかけると、ハッと驚いて唇をふるわしている未亡人を尻目にかけた。 |
シュロ |
白菊 |
161 |
棕梠 |
その中央に続きに敷かれた棕梠のマットの上を、猫のように緊張しながら匐い登って行くと、すぐに一つの頑丈な扉とに行き当った。 |
シュロ |
白菊 |
168 |
棕梠 |
うしてその寝台の裾の床の上には、少女よりも心持ち大きいかと思われる棕梠の毛製の熊が一匹、少女の眠りを守護るかのように、黒い、ビックリした瞳を見開きながら、寝台に倚(より)かかって坐っているのであった。 |
シュロ |
白菊 |
0 |
棕梠 |
若い洋髪の女性は、片手で寝乱れた髪を撫で上げながらも、こうした大邸宅にふさわしい気品のうちにユックリユックリと白羅紗のスリッパを運んで来たが、やがて棕櫚のマットの中央まで来ると、すこし寒くなったらしく、襟元を引き合わせて立ち止まった。 |
センダン |
ドグラ・マグラ下 |
105 |
大栴檀樹 |
裏庭に在りし大栴檀樹を伐きつてその赤肉(せきにく )を選み |
ツツジ |
あやかしの鼓 |
346 |
躑躅 |
あやかし」という名前はこの鼓の胴が世の常の桜や躑躅と異ちがって「綾になった木目を持つ赤樫」で出来ているところからもじったものらしい。 |
ツバキ |
あやかしの鼓 |
420 |
椿 |
すてきにいい天気で村々の家々に桃や椿が咲き、菜種畠の上にはあとからあとから雲雀があがった。 |
ニス |
ドグラ・マグラ下 |
143 |
塗料のニス |
塗料のニスや、リノリウムの床に眩しく反射しつつ静まり返っている。 |
ノイバラ |
木魂 |
329 |
野茨 |
又はその近まわりに生えている芝草や、野茨(のいばら)の枝ぶりまでも、家に帰って寝る時に、 |
バラ |
ドグラ・マグラ上 |
63 |
何となく淋しい薔薇色 |
何となく淋しい薔薇色に移り変って行くだけであったが、 |
バラ |
ドグラ・マグラ上 |
64 |
薔薇色 |
そうして左右の頬に沈んでいた、さびしい薔薇色が、夜が明けて行くように、 |
バラ |
ドグラ・マグラ下 |
17 |
薔薇色 |
神秘の国に生れた大きな貝の剥き肉かなんぞのように活き活きとした薔薇色に盛り上って |
ヒノキ |
あやかしの鼓 |
364 |
檜作り |
セメントの高土塀にも檜作りの玄関にも表札らしいものが見えず、軒燈の丸い磨硝子すりガラスにも何とも書いてない。 |
ヒノキ |
あやかしの鼓 |
421 |
檜のカブキ門 |
なつかしい檜のカブキ門が向うに見えると、私は黒い鳥打帽を眉深(まぶか)くして往来の石に腰をかけた。そ |
ブンタン |
ドグラ・マグラ下 |
97 |
朱欒樹(普通はザボンと読む ) |
そこに立っている朱欒(じゃがたら )の樹に縋すがり付いて、やっとこさと抜けた腰を伸ばして立ち上りました。 |
ホウ |
あやかしの鼓 |
364 |
朴歯 |
私は鳥打に紺飛白(こんがすり)、小倉袴、コール天の足袋、黒の釣鐘マントに朴歯(ほおば)の足駄といういでたちでお菓子らしい包みを平らに抱えながら高林家のカブキ門を出た。 |
ホオノキ |
ドグラ・マグラ下 |
122 |
朴歯 |
呉一郎の朴歯の下駄の跡と、モヨ子の外出穿きの赤きコルク草履が正しく並びおり、 |
ホオノキ |
ドグラ・マグラ下 |
122 |
下駄 |
呉一郎の朴歯の下駄の跡と、モヨ子の外出穿きの赤きコルク草履が正しく並びおり、 |
ボダイジュ |
ドグラ・マグラ上 |
295 |
菩提樹下 |
天竺は仏陀迦耶なる菩提樹下において、過去、現在、未来、三世の実相を明らめられて、 |
ボタン |
あやかしの鼓 |
394 |
白牡丹 |
真中に鉄色のふっくりした座布団が二つ、金蒔絵をした桐の丸胴の火鉢、床の間には白孔雀の掛け物と大きな白牡丹の花活(はないけ)がしてあって、丸い青銅の電気ストーブが私の背後うしろに真赤になっていた。 |
ポプラ |
木魂 |
317 |
ポプラ |
ところで校門を出てポプラの並んだ広い道を左に曲ると、彼の住んでいる山懐の傾斜の下まで、 |
マツ |
いなか、の、じけん |
259 |
小松 |
そのうちに小松の蔭に吊してある、青塗りに金縁の籠を見付けると、又急に元気附いた。 |
マツ |
いなか、の、じけん |
262 |
小松 |
雨戸の外の小松の蔭にブラ下がった底無しの籠の中に、いつの間にか赤い鳥が帰っていた。 |
マツ |
あやかしの鼓 |
383 |
松 |
私は手近の松に雪の模様の鼓から順々に打って行ったが、九段にいる時と違って一パイに出す調子を妻木君は身じろぎもせずに聞いてくれた。 |
マツ |
ドグラ・マグラ上 |
57 |
深緑色の松林 |
そのまた向むこうは左右とも、深緑色の松林になっている。 |
マツ |
ドグラ・マグラ上 |
57 |
松林 |
その松林の上を行く薄雲に、朝日の光りがホンノリと照りかかって、どこからともない遠い浪の音が、静かに静かに漂って来る気持ちのよさ……。 |
マツ |
ドグラ・マグラ上 |
78 |
濃緑色の松の枝 |
北と西の八ツの窓は、一面に濃緑色の松の枝で蔽われているが、 |
マツ |
ドグラ・マグラ上 |
276 |
松の枯枝 |
桐の落葉、松の枯枝、竹片、瓦の破片なぞ |
マツ |
ドグラ・マグラ下 |
20 |
松の緑 |
教授室の三方の窓には強い日光を受けた松の緑が眩(まぶ)しく波打っておりまして、 |
マツ |
ドグラ・マグラ下 |
103 |
名松 |
銀波、銀砂に列つらなる千古の名松は |
マツ |
ドグラ・マグラ下 |
143 |
松の間 |
という小鳥の群が、松の間を渡る声が聞えるばかり……。 |
マツ |
ドグラ・マグラ下 |
195 |
松の青さ |
室の中の爽快な明るさ……窓一パイの松の青さ……その中に満ち満ちている白昼の静けさなぞが、今更に気持ちよく、身に沁みて来たのであった。 |
ミカン |
いなか、の、じけん |
232 |
ネープル蜜柑 |
その御馳走の中には、ネジパンや、西洋のお酒らしい細長い瓶や、ネープル蜜柑などがあったが、 |
モミ |
あやかしの鼓 |
364 |
樅 |
樅の木に囲まれた表札も何もない家うちだ」と眼をしばたたかれた。 |
モミ |
あやかしの鼓 |
364 |
樅 |
その向うに樅の木立ちにかこまれた陰気な平屋建てがある。 |
もみじ |
ドグラ・マグラ上 |
166 |
花に紅葉 |
花に紅葉(もみじ)に極楽浄土の。中にさまよう精神病者じゃ。 |
モモ |
いなか、の、じけん |
259 |
桃 |
ただ表の植込みから蝉の声が降るように聞こえて来るばかりなので、桃の刺青はチョッと張り合いが抜けた体であったが、 |
モモ |
いなか、の、じけん |
261 |
桃の刺青 |
桃の刺青は真青になって、唇を噛んだ。起き上るや否や、「覚えていろッ」 |
モモ |
あやかしの鼓 |
420 |
桃 |
すてきにいい天気で村々の家々に桃や椿が咲き、菜種畠の上にはあとからあとから雲雀があがった。 |
モモ |
ドグラ・マグラ上 |
64 |
桃色 |
元のあどけない桃色にさしかわって行くにつれて、 |
ヤシ |
瓶詰の地獄 |
49 |
ヤシの実 |
おいしいヤシの実だの、パイナプルだの、バナナだの、赤と紫の大きな花だの、香気のいい草だの、 |
ヤシ |
瓶詰の地獄 |
55 |
ヤシの枯れ葉 |
その絶頂に立っておりました棒切れと、その尖端に結びつけてあるヤシの枯れ葉を、一思いに引きたおして、眼の下はるかの淵に投げ込んでしまいました。 |
ヤシ |
瓶詰の地獄 |
57 |
ヤシ |
そうするとこの島の中に照る太陽も、唄う鸚鵡(おうむ)も、舞う極楽鳥も、玉虫も、蛾も、ヤシも、パイナプルも、花の色も、草の芳香(かおり)も、海も、雲も、風も、虹も、 |