298 |
踏切板 |
踏切板 |
半分腐りかかった踏切板をコツンコツンと蹴けってみた。 |
301 |
枕木 |
枕木 |
白い踏切板の上から半身を傾けて、やはり霜を被っている線路の枕木の上へ、 |
301 |
踏切板 |
踏切板 |
そうして彼を無意識のうちに踏切板の中央へ釘付けにしていた、或る「不吉な予感」を今一度ハッキリと感じたのであった。 |
301 |
落葉 |
落葉 |
落葉まじりの霜の廃道を、この踏切板の上まで辿(たど)って来たのであったが、 |
301 |
踏切板 |
踏切板 |
落葉まじりの霜の廃道を、この踏切板の上まで辿(たど)って来たのであったが、 |
301 |
踏切板 |
踏切板 |
こで真白い霜に包まれた踏切板の上に、自分の重たい泥靴がベタリと落ちた音を耳にすると、 |
304 |
木立 |
木立 |
青い空の下にクッキリと浮き立った山々の木立を、お縁側から眺めていると、 |
304 |
縁側 |
縁側 |
青い空の下にクッキリと浮き立った山々の木立を、お縁側から眺めていると、 |
304 |
アケビ |
アケビ |
どこにはアケビの蔓があって、どこには山の芋が埋まっている。 |
304 |
サクラ |
桜の木 |
二股になった幹の間から桜の木を生やした大榎はどこの池の縁に立っているという事まで一々知っていたのは恐らく村中で彼一人であったろう。 |
304 |
エノキ |
大榎 |
二股になった幹の間から桜の木を生やした大榎はどこの池の縁に立っているという事まで一々知っていたのは恐らく村中で彼一人であったろう。 |
304 |
雑木林 |
雑木林 |
ところで彼は、そんな山歩きの途中で、雑木林の中なんぞに、思いがけない空地を発見する事がよくあった |
305 |
立木 |
立木 |
畠の跡だろうと思われる平地であったが、立木や何かに蔽われているために幾度も幾度も近まわりをウロ付きながら、 |
298 |
枯木林 |
枯木林 |
古ぼけた詰襟の上衣うわぎの上から羊羹色の釣鐘マントを引っかけ直しながら、タッタ今通り抜けて来た枯木林の向うに透いて見える自分の家の亜鉛(トタン)屋根を振り返った。 |
299 |
枯木林 |
枯木林 |
……俺は今朝、あの枯木林の中の亜鉛葺の一軒屋の中で、いつもの通りに自炊の後始末をして、野良犬が這入らないようにチャント戸締りをして、 |
300 |
踏切板 |
踏切板 |
白い踏切板の上から半身を傾けて、やはり霜を被っている線路の枕木の上へ、 |
305 |
立木 |
立木 |
彼を取囲む立木の一本一本が、彼をジイッと見守っているように思われて来る。 |
305 |
枯葉 |
枯葉 |
足の下の枯葉がプチプチと微かな音を立てて、何となく薄気味が悪くなる位であった。 |
309 |
木魂 |
木魂(すだま) |
現にウラルの或る地方では「木魂(すだま)に呼びかけられると三年経たたぬうちに死ぬ」という伝説が固く信じられている位であるが、 |
316 |
雑木林 |
雑木林 |
そこは線路が、この辺一帯を蔽(おお)うている涯はてしもない雑木林の間の空地に出てから間もない処に在る小川の暗渠の上で、 |
317 |
ポプラ |
ポプラ |
ところで校門を出てポプラの並んだ広い道を左に曲ると、彼の住んでいる山懐の傾斜の下まで、 |
318 |
杉森 |
杉森 |
すぐに小さな杉森の中に這入って、その蔭に在る駅近くの踏切に出る事が出来た。 |
318 |
枯木林 |
枯木林 |
自分の家の真下に在る枯木林の中の踏切まで行けるので、 |
318 |
杉森 |
杉森 |
ところで又、彼はその校門の横の杉森を出て、線路の横の赤土道に足を踏み入れると同時に、 |
318 |
枯木林 |
枯木林 |
自分の家の真下に在る枯木林の中の踏切まで行けるので、その途中の大部分は枯木林に蔽おおわれてしまっていたから、誰にも見付かる気遣が無いのであった。 |
318 |
枯木林 |
枯木林 |
自分の家の真下に在る枯木林の中の踏切まで行けるので、その途中の大部分は枯木林に蔽おおわれてしまっていたから、誰にも見付かる気遣が無いのであった。 |
319 |
枯木立 |
枯木立 |
自分の姿が枯木立の間から現われるのを待ちかねたように両手を差し上げて、 |
319 |
枕木 |
枕木 |
枕木の上に立ち止まって、バットの半分に火を点つけながら、 |
320 |
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ちょうど長い長い堀割の真中あたりに近い枕木の上に立佇まっているのであった。 |
329 |
木の間 |
木の間 |
木の間ま隠れの一軒屋の中に描き出しつつ……。 |
329 |
ノイバラ |
野茨 |
又はその近まわりに生えている芝草や、野茨(のいばら)の枝ぶりまでも、家に帰って寝る時に、 |
330 |
枕木 |
枕木 |
枕木の切口の恰好や、軌条の継目の間隔を、一つ一つにジーッと見守らなければ気が済まないのであった……………………。 |
330 |
木 |
木 |
見渡す限り草も木も、燃え立つような若緑に蔽われていて、色とりどりの春の花が、巨大な左右の土の斜面の上を、 |
331 |
サクラ |
山桜 |
線路の向うの自分の家を包む山の斜面の中程には、散り残った山桜が白々と重なり合っていた。 |
331 |
白木 |
白木 |
……というように、白木の位牌を二つながら抱き締めて、どんなに頬ずりをして、接吻しつつ、あこがれ歎いたことか……。 |
332 |
枯木林 |
枯木林 |
彼は依然として枯木林の間の霜の線路を渡りつづけながら、その時の自分の姿をマザマザと眼の前に凝視した。 |
332 |
枕木 |
枕木 |
薄霜を帯びた枕木と濡ぬれたレールの連続が、 |
332 |
枯木林 |
枯木林 |
彼の左右には相も変らぬ枯木林が、奥もわからぬ程立ち並んで、黄色く光る曇り日の下に灰色の梢を煙らせていた。 |
332 |
梢 |
梢 |
彼の左右には相も変らぬ枯木林が、奥もわからぬ程立ち並んで、黄色く光る曇り日の下に灰色の梢を煙らせていた。 |
334 |
枕木 |
枕木 |
自分の背後の枕木の一つ一つを念を入れて踏み付けながら引返し初めた。 |
334 |
枕木 |
枕木 |
古い枕木の一方が、彼の体重を支えかねてグイグイと砂利の中へ傾き込んだ。 |
335 |
枕木 |
枕木 |
彼の眼には、彼の足の下に後から後から現われて来る線路の枕木の間ごとに変化して行く礫石の群れの特徴が、 |
335 |
枕木 |
枕木 |
彼は又、枕木と軌条が擦れ合った振動が、人間の笑い声に聞こえて来るまでの錯覚作用を、 |
335 |
枕木 |
枕木 |
しかしその簡単な枕木の振動の音波が人間の鼓膜に伝わって、脳髄に反射されて、全身の神経に伝わって、 |
336 |
立木 |
立木 |
その景色の中の家や、立木や、畠や、電柱が、数学の中に使われる文字や符号…… |
336 |
電柱 |
電柱 |
その景色の中の家や、立木や、畠や、電柱が、数学の中に使われる文字や符号…… |
339 |
枕木 |
枕木 |
どうしてもその先が考えられなかった彼は、枕木の上に両足を揃えてしまったのであった。 |
340 |
枕木 |
枕木 |
節穴の在る枕木と、その下から噴き出す白い土に塗れた砂利の群れが並んでいた。 |
340 |
柱 |
白い柱 |
彼は徐ろに眼をあげて、彼の横に突立っているシグナルの白い柱を仰いだ。 |
340 |
横木 |
横木 |
黒線の這入った白い横木が、四十五度近く傾いている上に、 |