原始林 |
原始林 |
彼は人跡絶えた北海道の原始林や処女林の中を、殆んど人間業とは思えない超速度で飛びまわりながら、時々、思いもかけぬ方向に姿を現わして、 |
シュロ |
棕梠 |
その中央に続きに敷かれた棕梠のマットの上を、猫のように緊張しながら匐い登って行くと、すぐに一つの頑丈な扉とに行き当った。 |
シュロ |
棕梠 |
うしてその寝台の裾の床の上には、少女よりも心持ち大きいかと思われる棕梠の毛製の熊が一匹、少女の眠りを守護るかのように、黒い、ビックリした瞳を見開きながら、寝台に倚(より)かかって坐っているのであった。 |
シュロ |
棕梠 |
若い洋髪の女性は、片手で寝乱れた髪を撫で上げながらも、こうした大邸宅にふさわしい気品のうちにユックリユックリと白羅紗のスリッパを運んで来たが、やがて棕櫚のマットの中央まで来ると、すこし寒くなったらしく、襟元を引き合わせて立ち止まった。 |
処女林 |
処女林 |
彼は人跡絶えた北海道の原始林や処女林の中を、殆んど人間業とは思えない超速度で飛びまわりながら、時々、思いもかけぬ方向に姿を現わして、 |
山林 |
山林 |
残った一人を威嚇しながら、やはり二人の弁当の包みだけを奪って、又も悠々と山林に姿を消した |