274 |
木ッ葉 |
木ッ葉 |
それ等の一切を支配して、鉄も、血も、肉も、霊魂も、残らず蔑視して、木ッ葉の如く相闘わせ、相呪わせる…… |
273 |
木工場 |
木工場 |
はるかの木工場から咽で来る旋回円鋸機の悲鳴は、首筋から耳の付け根を伝わって、 |
273 |
梁木 |
梁木 |
その血しぶきは今でも梁木(はりき)の胴腹に黒ずんで残っている。 |
275 |
木工場 |
木工場 |
私は眼が眩だ。ポムプの鋳型を踏み砕いて飛び退のいた。全身の血を心臓に集中さしたまま木工場の扉に衝突して立ち止まった。 |
290 |
森 |
海藻の森 |
いつの間に立ち現われたものか、何ともいえない奇妙な恰好をした海藻の森が、涯てしもない砂丘の起伏を背景にして迫り近付いている。 |
290 |
森 |
海藻の森 |
……海藻の森……その一本一本は、それぞれ五六尺から一丈ぐらいある。 |
290 |
根 |
根元 |
……その根元の縊れたところから細い紐で海底に繋がっている。 |
293 |
森 |
森 |
河や海はむろんの事、町も、家も、橋も、街路樹も、森も、山も水晶のように透きとおっている。 |
293 |
街路樹 |
街路樹 |
河や海はむろんの事、町も、家も、橋も、街路樹も、森も、山も水晶のように透きとおっている。 |
294 |
並木 |
並木 |
何度振り返って見ても依然としてアリアリと見えている。家越し、橋越し、並木ごしに……すべてが硝子で出来ているのだから……。 |