樅の木は残った(上) |
80 |
モミ |
樅ノ木 |
これが、船岡のお館たてから御自分でお移しになった、樅ノ木です |
樅の木は残った(上) |
81 |
枝 |
枝 |
宇乃はまた樅ノ木を見た。榧に似たその葉や、枝のなりは、いかにも寒さのきびしい土地の木らしく、性が強そうにみえるが、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
木 |
国の木 |
お国の木なんですわね」 |
樅の木は残った(上) |
81 |
モミ |
樅ノ木 |
宇乃はまた樅ノ木を見た。榧に似たその葉や、枝のなりは、いかにも寒さのきびしい土地の木らしく、性が強そうにみえるが、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
木 |
国の木 |
|
樅の木は残った(上) |
81 |
林 |
美しい林 |
船岡のお館のまわりには、この木が美しい林になっていますし、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
木 |
土地の木 |
宇乃はまた樅ノ木を見た。榧に似たその葉や、枝のなりは、いかにも寒さのきびしい土地の木らしく、性が強そうにみえるが、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
木 |
この木 |
船岡のお館のまわりには、この木が美しい林になっていますし、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
ナシ |
葉 |
宇乃はまた樅ノ木を見た。榧に似たその葉や、枝のなりは、いかにも寒さのきびしい土地の木らしく、性が強そうにみえるが、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
木 |
北ぐにの木 |
「この木がお好きなのです」とたつ女が云った、「北ぐにの木ですから、なかなかこの土地では根づかないのでしょう |
樅の木は残った(上) |
81 |
モミ |
樅 |
宇乃はまた樅ノ木を見た |
樅の木は残った(上) |
81 |
カヤ |
榧 |
宇乃はまた樅ノ木を見た。榧に似たその葉や、枝のなりは、いかにも寒さのきびしい土地の木らしく、性が強そうにみえるが、 |
樅の木は残った(上) |
81 |
木 |
木 |
「この木がお好きなのです」とたつ女が云った、「北ぐにの木ですから、なかなかこの土地では根づかないのでしょう |
樅の木は残った(上) |
85 |
モミ |
樅 |
樅ノ木でございますか |
樅の木は残った(上) |
85 |
モミ |
樅 |
樅ノ木だ、宇乃は知っているのか |
樅の木は残った(上) |
85 |
モミ |
樅 |
船岡にはあの木がたくさんある、樅だけで林になっている処もある、静かな、しんとした、なにもものを云わない木だ」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
柱 |
柱 |
「木はものを云うさ、木でも、石でも、こういう柱だの壁だの、屋根の鬼瓦だの、みんな古くなるとものを云う」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
林 |
林に |
船岡にはあの木がたくさんある、樅だけで林になっている処もある、静かな、しんとした、なにもものを云わない木だ」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
木 |
木 |
「木はものを云うさ、木でも、石でも、こういう柱だの壁だの、屋根の鬼瓦だの、みんな古くなるとものを云う」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
木 |
木 |
「木はものを云うさ、木でも、石でも、こういう柱だの壁だの、屋根の鬼瓦だの、みんな古くなるとものを云う」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
木 |
ものを云わない木 |
船岡にはあの木がたくさんある、樅だけで林になっている処もある、静かな、しんとした、なにもものを云わない木だ」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
木 |
あの木 |
船岡にはあの木がたくさんある、樅だけで林になっている処もある、静かな、しんとした、なにもものを云わない木だ」 |
樅の木は残った(上) |
85 |
木 |
木 |
向うに木が一本あるだろう、あの蘚苔こけの付いた石の右がわのところに |
樅の木は残った(上) |
85 |
木 |
あの木 |
「私はあの木が好きだ」と甲斐は云った、 |
樅の木は残った(上) |
86 |
モミ |
樅ノ木 |
「この樅ノ木を大事にしてやっておくれ」と甲斐は云った |
樅の木は残った(上) |
86 |
モミ |
樅 |
「宇乃、この樅はね、親やきょうだいからはなされて、ひとりだけ此処へ移されてきたのだ、 |
樅の木は残った(上) |
86 |
木 |
木 |
「大事にする、坊は木を揺ゆすらないよ」 |
樅の木は残った(上) |
86 |
木 |
木 |
「この木は育つようだ、これまで移したのは枯れてしまったが、こんどはうまく育つようだ、 |
樅の木は残った(上) |
86 |
木 |
木 |
いまに宇乃が船岡へいったら木がどんなにものを云うか、私が教えてあげよう」 |
樅の木は残った(上) |
86 |
木 |
木 |
「そのなかでも、木がいちばんよくものをいう」と甲斐はつづけた、 |
樅の木は残った(上) |
86 |
木 |
木 |
宇乃が此処にいるあいだは、この木を大事にしてやっておくれ」 |
樅の木は残った(上) |
106 |
叢林 |
叢林 |
掩おおいかぶさるような叢林(そうりん)で、やかましいほど虫が鳴きしきっていたし、 |
樅の木は残った(上) |
275 |
モミ |
樅 |
甲斐の樅は枝を張ったまま、しんと、少しも揺れずに立っていた。 |
樅の木は残った(上) |
275 |
モミ |
樅ノ木 |
樅ノ木は静かに立っていた。そこは風が当らないのだろうか、 |
樅の木は残った(上) |
358 |
モミ |
樅 |
樅ノ木は雪をかぶっていた。雪はこまかく、 |
樅の木は残った(上) |
358 |
樹木 |
樹木 |
地面はもう白く掩われ、庭の樹木や石燈籠なども白くなり、 |
樅の木は残った(上) |
378 |
材木 |
材木 |
又五郎は彼を伴れて材木町の家に帰り、 |
樅の木は残った(上) |
378 |
材木 |
材木 |
浅草材木町の家へ、おみやが帰って来た。 |
樅の木は残った(上) |
395 |
材木 |
材木 |
材木町の家へ帰れば、またおみやにつきまとわれるだろう。 |
樅の木は残った(上) |
411 |
枝 |
枝 |
いずれもその枝に花の房を付けているのが見えた。 |
樅の木は残った(上) |
411 |
モミ |
樅ノ木 |
甲斐は居間の端に坐って、昏くれてゆく庭を眺めていた。ここにも樅ノ木が多いが、 |
樅の木は残った(上) |
411 |
クルミ |
胡桃 |
ここにも樅ノ木が多いが、片側に大きな胡桃の木が三本あり、 |
樅の木は残った(上) |
411 |
クルミ |
胡桃 |
甲斐は心のなかで呟き、「くるみ味噌」を連想して、 |
樅の木は残った(上) |
434 |
クコ |
枸杞の |
桑の若葉と乾した枸杞の実がはいっている、与五がおれのために作ってくれるんだ |
樅の木は残った(上) |
434 |
クワ |
桑茶 |
「桑茶だ、口に合わないかもしれない」 |
樅の木は残った(上) |
434 |
クワ |
桑 |
桑の若葉と乾した枸杞の実がはいっている、与五がおれのために作ってくれるんだ |
樅の木は残った(上) |
434 |
クワ |
桑茶 |
「桑茶だって」 |
樅の木は残った(中) |
8 |
木 |
木の枝 |
うしろの山道で、木の枝から雪の落ちる音がし、 |
樅の木は残った(中) |
23 |
木 |
枯木林 |
そこは西北にひらけた山の中腹で、うしろは枯木林の山につづき、 |
樅の木は残った(中) |
23 |
木 |
木の枝 |
うしろの斜面で、木の枝から雪の落ちる音がした。 |
樅の木は残った(中) |
30 |
木 |
木の枝 |
だが、木の枝から雪の落ちる音がするだけで、 |
樅の木は残った(中) |
30 |
林 |
林 |
笹藪の雪を払いながら、向うの林と斜面を注視し、 |
樅の木は残った(中) |
31 |
林 |
林 |
一文字なりに枯木林のほうへゆき、枝をかすめて、つぶてのように、林の奥へと消え去った。 |
樅の木は残った(中) |
31 |
枝 |
枝 |
一文字なりに枯木林のほうへゆき、枝をかすめて、つぶてのように、林の奥へと消え去った。 |
樅の木は残った(中) |
31 |
木 |
枯木林 |
一文字なりに枯木林のほうへゆき、枝をかすめて、つぶてのように、林の奥へと消え去った。 |
樅の木は残った(中) |
32 |
スギ |
杉林 |
山裾の一段高くなった杉林の中へはいり、 |
樅の木は残った(中) |
74 |
落葉樹 |
落葉樹 |
落葉樹の多くは紅葉しはじめていたし、登るにしたがって、その色がはなやかに、色濃くなっていった。 |
樅の木は残った(中) |
74 |
スギ |
杉 |
いつもどちらかは切り立ったような崖であるが、そこには樅や杉や樺類の樹々が密生してい、 |
樅の木は残った(中) |
74 |
モミ |
樅 |
いつもどちらかは切り立ったような崖であるが、そこには樅や杉や樺類の樹々が密生してい、 |
樅の木は残った(中) |
76 |
材木 |
材木町 |
その朝、材木町河岸の家を、野中又五郎といっしょに出た新八は、 |
樅の木は残った(中) |
90 |
材木 |
材木 |
「材木河岸へ置くからいけないんだわ |
樅の木は残った(中) |
90 |
材木 |
材木 |
おまえがまだ材木河岸にいるじぶんから、お久米は私にさそいかけた、 |
樅の木は残った(中) |
202 |
紅葉 |
紅葉 |
落葉樹の多くは紅葉しはじめていたし、登るにしたがって、その色がはなやかに、色濃くなっていった。 |
樅の木は残った(中) |
202 |
林 |
林 |
林の中から飛び立った鶫つぐみの群が、 |
樅の木は残った(中) |
203 |
潅木 |
潅木 |
彼は灌木の繁みをわけて、斜面を登ってゆき、 |
樅の木は残った(中) |
203 |
グミ |
茱萸 |
斜面を登ってゆき、茱萸の枝を折って来た。 |
樅の木は残った(中) |
299 |
モミ |
樅 |
「樅ノ木へ小鳥が巣をかけましてね」と歩きながら玄察が云った、 |
樅の木は残った(中) |
299 |
モミ |
樅 |
「樅ノ木にも巣をかける鳥があるのですかな」と玄察が云った。 |
樅の木は残った(中) |
299 |
モミ |
樅 |
良源院の庭にある樅ノ木のすがたが、ふと眼にうかび、 |
樅の木は残った(中) |
74 |
カバ |
樺 |
いつもどちらかは切り立ったような崖であるが、そこには樅や杉や樺類の樹々が密生してい、 |
樅の木は残った(中) |
202 |
グミ |
茱萸 |
熟れた実をびっしり付けた、茱萸の木があるのをみつけた。 |
樅の木は残った(中) |
202 |
実 |
熟れた実 |
熟れた実をびっしり付けた、茱萸の木があるのをみつけた。 |
樅の木は残った(中) |
299 |
枝 |
枝 |
「なんという鳥かわからなかったが、枝が枯れてはいけないと思って、 |
樅の木は残った(下) |
9 |
カシ |
樫 |
踏段の右には、樹齢二百年ほどの樫があり、 |
樅の木は残った(下) |
9 |
カシ |
樫 |
甲斐は断崖の途中で立停り、その古い樫や |
樅の木は残った(下) |
21 |
モミ |
樅ノ木 |
樅ノ木や、鹿や、古い鯉などのほうが、人間よりもお好きなのだ、と宇乃は思った。 |
樅の木は残った(下) |
185 |
けやき |
槻木 |
かれらは永野で馬を替え、槻木(つきのき)で乗り継ぎ、岩沼までいって宿を取った。 |
樅の木は残った(下) |
233 |
モミ |
樅 |
裏の樅の林でしきりに蝉せみが鳴いていて、 |
樅の木は残った(下) |
236 |
モミ |
樅 |
樅の林のほうで、かっこう、ときれいに鳴く声がした。 |
樅の木は残った(下) |
236 |
スギ |
杉林 |
それは武庫の裏にある杉林のほうへ移り、それから館の下の池に添って、 |
樅の木は残った(下) |
236 |
林 |
林 |
樅の林のほうで、かっこう、ときれいに鳴く声がした |
樅の木は残った(下) |
236 |
林 |
林 |
樅の林のほうで、かっこう、ときれいに鳴く声がした。 |
樅の木は残った(下) |
236 |
スギ |
杉山 |
それから館の下の池に添って、杉山のかなたへと、鳴きながら遠ざかっていった。 |
樅の木は残った(下) |
256 |
スギ |
千本杉 |
「歩いて下さい」と甲斐が云った、「千本杉とかいうところをご存じでしょう」 |
樅の木は残った(下) |
258 |
スギ |
千本杉 |
「話しましょう」と甲斐は頷いた、「そのつもりで千本杉へ案内を頼んだのです、まだよほどありますか」 |
樅の木は残った(下) |
259 |
スギ |
杉の林 |
かなり広い草原がひらけ、北側に深い杉の林がある |
樅の木は残った(下) |
259 |
林 |
林 |
かなり広い草原がひらけ、北側に深い杉の林がある |
樅の木は残った(下) |
259 |
スギ |
杉林 |
もうかなり暗くなった杉林をうしろに、音もなく立ちあがった老人の姿は、 |
樅の木は残った(下) |
288 |
若木 |
若木 |
いまあるのは五年ほどまえに移させた若木で、 |
樅の木は残った(下) |
288 |
モミ |
樅ノ木 |
そこは芝生の端れで、樅ノ木の植込にかかるところだった。 |
樅の木は残った(下) |
288 |
モミ |
樅 |
その樅も船岡から移したものであるが、 |
樅の木は残った(下) |
353 |
木挽 |
木挽 |
「こんど木挽町の森田座で」とおくみは俯向うつむきながら答えた、 |
樅の木は残った(下) |
454 |
モミ |
樅ノ木 |
そこに樅ノ木があった。彼女の眼は蘚苔の付いた石燈籠も、 |
樅の木は残った(下) |
454 |
モミ |
樅ノ木 |
境の土塀も見ず、まっすぐにその樅ノ木を見た。 |
樅の木は残った(下) |
455 |
木 |
木 |
――この木を大事にしておくれ。 |
樅の木は残った(下) |
455 |
木 |
木 |
――私はこの木が好きだ。 |
樅の木は残った(下) |
455 |
モミ |
樅ノ木 |
くろぐろと枝を張った樅ノ木が、はっきりその姿をあらわすように思えた。 |
樅の木は残った(下) |
455 |
枝 |
枝 |
くろぐろと枝を張った樅ノ木が、はっきりその姿をあらわすように思えた。 |
樅の木は残った(下) |
455 |
モミ |
樅ノ木 |
「おじさま」宇乃は樅ノ木に向かって、口の中で囁きかけた、 |
樅の木は残った(下) |
455 |
モミ |
樅ノ木 |
初めてここで会ったとき、甲斐はその樅ノ木を宇乃にみせて云った。 |
樅の木は残った(下) |
456 |
モミ |
樅ノ木 |
すると、樅ノ木がぼうとにじんで、そこに甲斐の姿があらわれた。 |
樅の木は残った(下) |
456 |
モミ |
樅ノ木 |
そのつぎにやはりここで、この廊下で、甲斐と自分はあの樅ノ木を見た。 |
樅の木は残った(下) |
456 |
モミ |
樅ノ木 |
雪はしだいに激しくなり、樅ノ木の枝が白くなった。 |
樅の木は残った(下) |
456 |
枝 |
枝 |
雪はしだいに激しくなり、樅ノ木の枝が白くなった。 |