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小説と木
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山崎豊子の小説「花のれん」に出てくる樹木や木製品

この小説の初出は1958年、文庫本におけるページ数は311ページ
ページ 元樹種 掲載樹種 掲載言葉
5 格子 大阪格子 表口の大阪格子からずっと見通せる店の間は
6 上框 上り框 上り框に並べた木綿座布団を勧められても、
6 上框 上り框 上り框に頭を擦りつけて挨拶し、判取り帳に領収の判を捺して、
7 通い櫃 通い櫃にも貧相な反物しか納まってなかった。
9 上框 上り框 中の間の上り框の前に立たれてみると、
21 格子 小格子 深い小格子の億から、表通りに灯をつけるように明るい光を
28 松の内 松の内 年が明けて松の内も過ぎかけようとしている時、
29 くぐり戸 くぐり戸 早く店じまいした薄暗いくぐり戸から体を押し込むように辷り込ませ、
31 帳場格子 何時もしょうことなしに結界(けつかい)(帳場格子)の中へ
34 支(つつか)え柱入れたり壁塗り直したりして
35 板囲 板囲 辺り一帯にはひび割れた板囲いの小さな浪速節席と余席が
35 羽目板 羽目板 高座の羽目板もゆるんで、歩くと度に安っぽい音をたてた。
35 木口 木口 余席の中の木口(きぐち)も粗末で、薄い天井板の下で畳がてやけて
35 樹が生い茂り 後ろは天満宮の境内の樹が生い茂り、
35 天井板 天井板 余席の中の木口(きぐち)も粗末で、薄い天井板の下で畳がてやけて
38 木戸 木戸 吉三郎が木戸をやり、ガマ口が
39 木戸 たった五銭の木戸銭、へえ、毎度おおきに
39 木戸 木戸 表の木戸を見ると、吉三郎が夕方の
39 桟敷 桟敷 入って来る客を桟敷に通しながら、
39 板敷 板敷 多加は暗い板敷の中で素早く前垂れの端をつまんで涙を拭った。
39 桟敷 桟敷 ガラ空きの桟敷であったが、
40 桟敷 桟敷 高座から桟敷に伝わって来る。
42 木戸 木戸 表の木戸、裏方への心付けから、
42 木目 木目 多加が拭き込んだてすりの木目だけがいやに光っていた。
44 大工 大工 大工を呼んで余席の横に張り出すように安普請の売店を作った。
44 安普請 安普請 大工を呼んで余席の横に張り出すように安普請の売店を作った。
48 木戸 木戸銭 木戸銭の出し入れもみてくれはったら
50 松の内 松の内 元旦から松の内一五日までは満員続きだつた。
51 木戸 木戸銭 その日の木戸銭を勘定し、
64 木戸 木戸銭 木戸銭の上がりの勘定も番頭のガマ口が
66 縁側 縁側 縁側の小障子の外がうっすらと白みかけていた。
66 障子 小障子 縁側の小障子の外がうっすらと白みかけていた。
66 木戸 木戸銭 ガマ口を相手に木戸銭の勘定をしていた。
76 上り框 上り框 中庭を出て上り框まで来てから、もう一度、
78 揚巻の髷(まげ)にさした櫛も、
78 下駄 桐台の下駄 本別珍(べっちん)に柾目の通った桐台の下駄である。
78 キリ 桐台の下駄 本別珍(べっちん)に柾目の通った桐台の下駄である。
78 柾目 柾目の通った 本別珍(べっちん)に柾目の通った桐台の下駄である。
78 下駄 柾下駄 真新しい鼻緒のついた柾下駄が、
78 今さしそうたばかりのように根のゆるいさし方であった。
78 木戸 木戸 木戸があがると、せっせっと勘定を手伝い、
78 柾下駄 真新しい鼻緒のついた柾下駄が、
81 白木 白木の台 おしのは、白木の台や線香の用意を整えはじめた
84 サカキ と云いながら、榊で吉三郎の額に、ぽとぼとと水を垂らした。
85 敷居 敷居 中の間の敷居祭に、隠れるようにして
86 黒々とした頭髪に櫛を入れた途端、
86 櫛をもった手を止めて、
87 樟脳 樟脳 樟脳の臭いが眼にしみた。
87 板の間 板の間 黴臭い湿気が板の間から這い上がった。
87 卯建 卯建 隣家との境を示す卯建(うだち)の塀が迫っている。
87 小庇 小庇の出た北向きの昼でも暗い部屋である。
87 樟脳 樟脳 強い樟脳の臭気が納戸一杯にたち籠め、
92 木戸 木戸銭 木戸銭の安い物本位でやることに決めた。
92 木戸 木戸銭 木戸銭は八戦、紋日(もんび)(日曜日、祭日)だけは十銭にした。
94 夏枯れ 夏枯れ 客足の悪い夏枯れに入ると、多加はもう、
94 ヤナギ ちょっとそこの柳のあたりで汗を入れはってからでも」
94 ヤナギ 柳の下 川岸の柳の下まで引っ張って来、
97 木戸 木戸 木戸を開けて入れ込みになると、
97 合札 合札 履物を受け取って、合札を渡す。
97 木戸札 木戸札 左手で木戸札を渡し、
97 木戸 木戸 正午になるともう木戸を開ける
97 木戸札 木戸札 どんどん木戸札を売って行く。
98 札止 札止 下足札足らんいうて札止めでけまった、
98 下足札 下足札 大入りの下足札にした。
98 鋸で縦二寸、横一寸四角に挽いて数字を書き入れ、
98 合札 合札 合札を渡す声ばかりが威勢よく、
98 リンゴ リンゴ箱 リンゴ箱をつぶして鉋をかけさせ
98 下足札 下足札 下足札足らんいうて札止めでけまった、
98 札止 札止め 札止めして貰いまひょか」
98 上等の下駄、あんじょう頼んまつせえ」
98 下足札 下足札 下足札が足らなくって来た。
99 鉋屑 鉋屑 まだ鉋屑のついている出来合いの下足札を見せ、
99 下足札 下足札 まだ鉋屑のついている出来合いの下足札を見せ、
100 炭火 炭火 楽屋火鉢の炭火をつぎ足した。
102 下駄 下駄 敷台の上から揃えた桐柾の下駄を見、
102 キリ 桐柾 敷台の上から揃えた桐柾の下駄を見、
102 キリ 桐��履物屋 北の新地の桐��履物屋へ駆け込んだ。
102 下駄 下駄 丸桐の焼印が裏側に入った桐台、本ビロードの鼻緒をすげた下駄を買った。
102 キリ 桐の焼印 丸桐の焼印が裏側に入った桐台、本ビロードの鼻緒をすげた下駄を買った。
103 木戸 木戸 どら声が表の木戸から楽屋まで聞こえて来る。
103 木戸 木戸 木戸に座っているガマ口に、
104 材木 材木問屋 川沿いの材木問屋の家々の窓から、
105 木戸 木戸 もう十時というのに木戸をおろさず、割引料金で入って来る客に木戸札を売り、
105 木戸札 木戸札 もう十時というのに木戸をおろさず、割引料金で入って来る客に木戸札を売り、
106 敷居 敷居際 ちょっと敷居際を指先でこすってみたが、
107 木戸銭 木戸銭 杉田と木戸銭の上がりを勘定し終わった頃は、
109 割箸 割箸 割箸をもった手を膝の上に置くと、
110 門松 門松 門松の飾りつけや餅つきなど家打ちの正月
110 門松 門松 門松の針葉が黒く映え、
110 針葉 針葉 門松の針葉が黒く映え、
114 モモ 桃栗 次は、も、桃栗三年柿八年
114 クリ 桃栗 次は、も、桃栗三年柿八年
114 カキ 次は、も、桃栗三年柿八年
114 マツ 松の葉 あ、ご免してな、こ、志は松の葉
114 松の葉 あ、ご免してな、こ、志は松の葉
115 松の内 松の内 正月の松の内の慌ただしさを越して、
115 ヤツデ 八つ手の葉 部厚な八つ手の葉の窪みに、
115 八つ手の葉 部厚な八つ手の葉の窪みに、
124 スギ 杉襖 新しい若松の絵の杉襖に取り替え、
124 舞台 舞台 新しい寄席の手入れは、舞台(いだ)の正面の襖を、
124 板張 板張 舞台の下の板張りは網代、
124 網代 網代 舞台の下の板張りは網代、
124 表木戸 表木戸 表木戸から余席へ通る間口
124 マツ 若松 新しい若松の絵の杉襖に取り替え、
126 上り框 上り框 小文枝から順に上り框に手をついて、
126 桟敷 桟敷 ずらりと桟敷に顔を並べた。
127 木戸 木戸 こんな客の姿を木戸から見ていた多加は、
128 電信柱 電信柱 電信柱の陰に隠れて佇んでいた。
130 シュロ 棕櫚縄 黒い大粒の算盤珠を十個通した棕櫚縄が、
130 シュロ 棕櫚縄 棕櫚縄の上部に並んでいる珠を、
131 算盤珠 算盤珠 頭の上の算盤珠を一つおろした。
131 算盤珠 算盤珠 こんな算盤珠を頭の上へぶら下げて
136 木戸 木戸 満員になって来ると、木戸の方から
137 木戸 木戸 木戸や他のお茶子達からお政の不服を聞くなり、
137 木戸 木戸銭 平場の木戸銭の倍額の、
140 桐台 桐台 二円くらいする桐台の下駄が多かった。
140 下駄 下駄 二円くらいする桐台の下駄が多かった。
140 木製 木製 幅二寸の木製の下足札の裏へ
140 下足札 下足札 幅二寸の木製の下足札の裏へ
141 柾目 柾目 柾目の通った桐台に、茄子紺の本ビロードの鼻緒
141 桐台 桐台 柾目の通った桐台に、茄子紺の本ビロードの鼻緒
141 キリ 丸桐の焼き印 丸桐の焼き印が入っている。
141 下駄 下駄 あんさんが買うて来てくれた下駄です」
142 下駄 下駄 買い整えて弁償した下駄であった。
143 板障子 板障子 多加は桟敷のうしろの板障子の陰から、
146 木戸 木戸 木戸を開けにかかった時、
146 木戸 木戸開け 木戸開けぎりぎりになってから、
147 板障子 板障子 板障子のうしろから覗いてみたが、
149 板敷 板敷 うしろの板敷きの通路まではみ出している客をかき分けて、
149 舞台 舞台(いた) 顔を舞台(いた)に擦りつけて動かない。
151 板障子 板障子 板障子を開けて、お政が一言、
154 箸を措(お)いてから、もう一度、
157 八つ手 八つ手 狭い前栽(せんざい)に八つ手が大きな葉を拡げている。
157 大きな葉 狭い前栽(せんざい)に八つ手が大きな葉を拡げている。
160 茶柱 茶柱 沈みかける茶柱を舌先で掬(すく)い上げるようにして、
160 茶柱 茶柱 茶柱が浮いたり沈んだりしている食卓の
162 床の間 床の間 床の間の横に置いた一尺位くらいの高さの金庫
162 日和下駄 日和下駄 おろしたての日和下駄を履いてから、
163 上り框 上り框 上り框に座っていたガマ口は、
163 梶棒 梶棒 多加の俥の梶棒が上がった途端、
163 下駄 下駄 「あ、下駄、下駄!わい跣(はだし)や!」
165 つつくように箸を動かし、
165 杉箱 杉箱 帰りの弁当箱に間に合うよう空の杉箱の折を、
168 床几 床几 多加は店先の床几に腰をかけて飲みかけると、
169 床几 床几 つり銭を押しつけて、床几をたった。
171 粗板 粗板 俄かごしらえの粗板の舞台に上がった。
184 庭木 庭木 庭木の繁みに遮られて、
190 木戸 木戸 木戸に座っていた多加は、
191 木戸 木戸 多加は前日の木戸の上り銭と手持ち金を引浚(ひつさら)えて谷町筋へ走り、
192 棟梁 棟梁 出入りの棟梁に頼んで頑強な若い衆を
193 両側から崩れ落ちた木や鉄材でやっと人が
195 大工 大工 勇み肌で力んでいた大工の若い衆も、
201 菩提所 菩提所 二代つづいた河島屋呉服店の菩提所らしく、
201 シイ 椎の木 椎の木の繁もから洩れる小寒い陽の光の下で、
201 柄杓 柄杓 水桶の底を竭(つ)くまで柄杓で何度も清水をかけた。
203 緑の樹 急に緑の樹や畑が広がる。
203 林立 林立 林立する町工場の煙突からは、
209 木戸 木戸 木戸や廊下で顔を合わせると、
213 床の間 床の間 襖を開けると、床の間を背に死装束を着た春団治が、
213 襖を開けると、床の間を背に死装束を着た春団治が、
215 のぞき桟 囃子(はやし)部屋ののぞき桟の間から、
215 灰汁 灰汁 灰汁(あく)の強い面白さと妙な色気で
217 敷居 敷居際 敷居際にたって息を切らしているガマ口に、
224 木戸 木戸番 木戸番に聞いてみると、
226 ヒノキ 檜湯 千日前の檜湯で昼風呂につかっていると、
234 植込 植込み 暗い庭の植込みから白い蚊が一、二匹
237 灰汁 灰汁 古池からあがった鮒が泥水を吐くように灰汁を抜いてしまえば、
239 炭問屋 炭問屋の大戸がすっかり降りてしまって、
241 上框 上り框 半日上り框へ這いつくばって支払いを伸ばした時は、
242 ガマ口が縁(へり)の剥げかれたボテの蓋(ふた)を閉め、
243 木枯 木枯らし 外を窺うように木枯らしの音にきき耳をたてていた多加はふと、
243 木枯ら 木枯ら 木枯らしの吹く深夜だけに、
246 大工 大工 ガマ口と大工の若い衆と一緒に汽車に乗り込み、
247 椅子 椅子 人影のない椅子の列は、黒い歯を並べたような不気味さで、
274 敷居 敷居際 敷居際に立っている。
280 木戸 木戸 表は余席(こや)の木戸におる時だけで結構だす、
281 木割 木割 座っていた西桟敷の板障子も、乾いた木割がしたままだった。
281 小口 小口 桟敷の手すりの小口も汚れ放しになり、
281 格子 格子 白黒の格子柄に桶ませた平場の畳は
281 防水桶 防水桶と火叩きを寄席の四方、八方に
281 板障子 板障子 座っていた西桟敷の板障子も、乾いた木割がしたままだった。
285 見知らぬ女とホームの柱の陰で体を
286 多加の見知らぬ女とホームの柱の陰で
287 柱の陰に立っている女の方へ向けていた。
287 デッキ デッキ 久男はデッキに立って敬礼し、
290 大工 大工 豊中組の大工が足場を伝って、
294 木鐸 木鐸 木鐸(ぼくたく)で鳴らしかけた。
303 材木 材木 燻った材木や、
304 丸太 丸太ン棒 多加の足もとで熱い丸太ン棒が、
306 下駄 利休下駄 多加は歪(いびつ)になった利休下駄を、
307 リンゴ箱 箪笥の代わりに行李とリンゴ箱を置いて、
307 行李 行李 箪笥の代わりに行李とリンゴ箱を置いて、
307 粗木 粗木 粗木の反りかえった敷居を跨いで、
307 敷居 敷居 粗木の反りかえった敷居を跨いで、
310 どこからともなく集めて来た薪で風呂を沸かしてくれた。
312 縁側 縁側 多加は起き上がり縁側の座布団の上に座って、
315 舞台 舞台 ほんものの舞台(いた)でやらしておくなはれ
316 縁側 縁側 縁側のガラス戸を開けに行った途端、
316 木戸 木戸 木戸の呼込みの真似をしている。
  1. 沈まぬ太陽
  2. 約束の海
  3. 船場狂い
  4. 死亡記事
  5. 持参金
  6. しぶちん
  7. 遺留品
  8. 花のれん
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