186 |
俎板 |
台俎板 |
部屋のまん中の台俎板(まないた)の上に置かれた。 |
186 |
木枯 |
木枯 |
それは都会の木枯しとでもいえそうな賑かで寂しい音だ |
186 |
俎板 |
台俎板 |
今は台俎板の傍に立って笊の中の蔬菜を見入る。 |
186 |
芽株 |
芽株 |
譬(たと)えば蕗(ふき)の薹(とう)といったような、草の芽株に属するたちの品かともおもえる。 |
186 |
俎板 |
台俎板 |
まだ新しい台俎板の面に濡木(ぬれぎ)の肌の地図を浸み拡(ひろ)げて行く勢いも鈍って来た。 |
186 |
濡木 |
濡木 |
まだ新しい台俎板の面に濡木(ぬれぎ)の肌の地図を浸み拡(ひろ)げて行く勢いも鈍って来た。 |
186 |
俎板 |
台俎板 |
若い料理教師は、煙草の喫(す)い殻を屑籠(くずかご)の中に投げ込み立上って来た。じろりと台俎板の上を見亙みわたす。 |
186 |
俎板 |
台俎板 |
これはいらんという道具を二三品、抽(ぬ)き出して台俎板の向う側へ黙って抛(ほう)り出した。 |
192 |
俎板 |
台俎板 |
まだ中に蔬菜(そさい)が残っている紙袋をお絹の前の台俎板へ抛出した。 |
192 |
漬物樽 |
漬物樽 |
若い身空で女の襷たすきをして漬物樽の糠加減を弄(いじ)っている姿なぞは頼まれてもできる芸ではない。 |
193 |
芽 |
芽 |
他の性情や感覚や才能まで、その芽をもぎ取られ、 |
195 |
木の実 |
木の実 |
裸麦の匂いや、鶫の腸にまで染しみている木の実の匂いがひとりでにした。 |
195 |
イチョウ |
大銀杏 |
佐久間町の大銀杏(おおいちょう)が長屋を掠(かす)めて箒(ほうき)のように見える。 |
198 |
溝板 |
溝板 |
表通りの呉服屋と畳表問屋の間の狭い露路の溝板へ足を踏みかけると、 |
198 |
溝板 |
溝板 |
幽(かす)かな音で溝板の上に弾(は)ねているこまかいものの気配いがする。 |
199 |
溝板 |
溝板 |
霰(あられ)の溝板を下駄で踏み鳴らして東仲通りの酒屋までビールを誂(あつら)えに行った。 |
199 |
下駄 |
下駄 |
霰(あられ)の溝板を下駄で踏み鳴らして東仲通りの酒屋までビールを誂(あつら)えに行った。 |
203 |
長押 |
長押 |
屏風や長押の額、床の置ものにまで塵除けの布ぶくろが冠(かぶ)せてある。 |
203 |
床 |
床 |
屏風や長押の額、床の置ものにまで塵除けの布ぶくろが冠(かぶ)せてある。 |
207 |
縁側 |
縁側 |
座敷を歩み過し縁側のところまで来て硝子障子しょうじを明け放した。 |
207 |
イチョウ |
銀杏形 |
七つ八つの泡によって鍋底から浮上り漂う銀杏形の片きれの中で、ほど良しと思うものを彼は箸で選み上げた。 |
207 |
箸 |
箸 |
七つ八つの泡によって鍋底から浮上り漂う銀杏形の片きれの中で、ほど良しと思うものを彼は箸で選み上げた。 |
208 |
板塀 |
板塀 |
庭の構いの板塀は見えないで、無限に地平に抜けている目途の闇が感じられる。 |
208 |
木枝 |
木枝 |
小さな築山と木枝の茂みや、池と庭草は、電灯の光は受けても薄板金で張ったり、 |
213 |
芽出 |
し柳 |
土手の屈曲の影になる川の枝流れに、芽出し柳の参差(しんし)を盾に、姿を隠すようにして漁った。 |
213 |
森 |
糺すの森 |
すみれ草が甘く匂う。糺(ただ)すの森がぼーっと霞んで見えなくなる。 |
213 |
ヤナギ |
芽出し柳 |
土手の屈曲の影になる川の枝流れに、芽出し柳の参差(しんし)を盾に、姿を隠すようにして漁った。 |
215 |
嫩葉 |
嫩葉 |
薄皮仕立で桜色の皮膚は下膨(しもぶく)れの顔から胸鼈へかけて嫩葉(わかば=どんよう)のような匂においと潤いを持っていた。 |
215 |
青葉 |
青葉若葉 |
陽(ひ)はさんさんと照り輝いて満庭の青葉若葉から陽の雫が滴っているようである。 |
215 |
若葉 |
青葉若葉 |
陽(ひ)はさんさんと照り輝いて満庭の青葉若葉から陽の雫が滴っているようである。 |
218 |
版木 |
版木 |
石刷りを版木に模刻して印刷をする彫版師のような仕事もした。 |
218 |
木彫 |
木彫篆刻 |
そこから自ずから彼は表具もやれば刀を採って、木彫篆刻の業もした。 |
229 |
板 |
板 |
鼈四郎は捏ね板へ涙の雫を落すまいとして顔を反向けた。 |
229 |
山椒皮 |
山椒皮 |
坂本の諸子川の諸子魚(もろこ)とか、鞍馬の山椒皮(からかわ)なども、逸早いちはやく取寄せて、食品中に備えた。 |
231 |
ヤナギ |
柳 |
堤の芽出し柳の煙れる梢に春なかばの空は晴れみ曇りみしている。 |
231 |
梢 |
梢 |
堤の芽出し柳の煙れる梢に春なかばの空は晴れみ曇りみしている。 |
248 |
植木鉢 |
植木鉢 |
一日中炎天の下に旅行用のヘルメットを冠(かぶ)って植木鉢の植木を剪きり嘖さいなんだり、 |
248 |
植木 |
植木 |
一日中炎天の下に旅行用のヘルメットを冠(かぶ)って植木鉢の植木を剪きり嘖さいなんだり、 |