ありましょう(合板工場も工場こそ減少しているけれども、生産可能キャパシティは増加している)。すなわち、外材が日本の木材供給の大半を占めるようになって、輸入商社が大量販売によって利益を上げるという方式を採ってきたため、そのメカニズムだけが外材が成熟期から減退時代に入ってきた現在も残っていて、木材業界が利益を上げるということが置き忘れられてきたからだと考えます。 もち論、わが国の住宅着工数がピーク時(昭和四八年)の年間一九〇万戸から、いまや年間一二〇万戸ペースへと減ってきていることは確かですし、そのうちの七五%位が木造であったのが、現在は木造率が五二%、月によっては五〇%を切るところまで落ちてきていることは事実ですが、同時に、昭和三〇年からの製材工場における木材消費量と合板工場とにおける木材消費量とを合わせてみると、製材に使う量は減っているけれど合板に使う量は増加しており、あまり変化はないということ、つまり製材と合板とがお互いに食い合いをしていることが統計上から分かります。現在は、国産材の幅はぎ板が出てきて、これまで合板に食われていた野地板や床板に再びとって替わろうとする過渡的な現象が現われておりますが、そのようないわば内輪でのやりくりがまた行われて行こうとしていることも確かなことです。したがって、木材需要の変化を見るとき、木材業界全体の需要開発と、木材業界の取り合いとの両面から、そして各企業の利益がどう動いてゆくのかという視点から、これを見てゆかねばならないのではないか、それが木材を業とする者にとって重要なことである、と考えられます。
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