フィトンチッドは他の生物に対して攻撃的に作用するわけですか、人体に対しては有益で私たちの生活に広く有益であることは経験的に認知されていました。
そもそも森林や木に神秘的で不思議な力があることは昔から良く知られていました。そして日本人はフィトンチッドの持つ効用を生活の智恵としてさまざまな形で活用してきたのです。たとえば柏餅や柿の葉寿司はフィトンチッドの抗菌作用や防腐効果を利用したものですし、五月の節句の菖蒲湯はフィトンチッドの疲労回復と精神を安らかにする効果を活かしたものです。まろやかな味と防腐効果のために日本酒の樽に杉材を用いたり白蟻などか寄りつかないように家を建てるときにヒノキやヒバの材を使ったり、いろいろな工夫や応用がなされています。こうした長年の経験から得られた智恵か近年になって科学的な視点で見直され、さまさまな成果をもたらしています。