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木と香り

現在香料として利用されている、樹木をピックアップ

香辛料として利用されるもの

丁子や桂皮は精油源として重要であるが、種子や葉などをそのまま乾燥粉末として調味料または香辛料(スパイス)として利用される量が莫大である。これら香辛料は一般に苦味、辛味と同時に強い芳香を有し、肉製品、ソース、カレー粉などに繁用されている。昭和44年我国の香辛料輸入量は、胡椒が最も多く2,360トン、桂皮1,330トン、しょうが430トン、肉づく160トン、丁子130トン、ワニラ豆20トン、その他合計2,200トンと報告されている。

胡椒 Pepper

胡椒は、胡椒科のPiper nigrumという多年生のつる性潅木から得られる香辛料です。紀元前より知られており、特に肉料理には欠かせない調味料とされています。また、新大陸の発見のきっかけとも言われる重要な植物です。主な産地はインド西南部のマラバールですが、現在ではインドネシア、マレーシア、ブラジルなどでも栽培されています。ブラジルでは、30年以上前に日本の入植者によってアマゾン流域で栽培が始められました。

胡椒の未熟な実を乾燥させたものが黒胡椒であり、完熟した実を水に浸し、外皮をむいて乾燥させたものが白胡椒です。黒胡椒は水蒸気蒸留することでペッパー油が得られますが、その需要はあまり高くありません。胡椒の辛味成分はピペリンおよびその異性体であるシヤビシンであり、通常は水蒸気蒸留されず、溶剤抽出されてオレオレジンとして使用されることも多いです。

胡椒の世界年産量は約8万トンとされ、最大の香辛料の一つです。肉製品、缶詰製品、ハム、ソーセージ、漬物など、辛味が求められる料理に広く用いられています。胡椒は料理の風味を引き立てるだけでなく、健康にも寄与する成分が含まれており、消化を促進する作用があるとされています。

持続可能な栽培方法への取り組みも進められており、環境保護や労働者の権利に配慮した農業が推進されています。胡椒はその多様な用途と健康効果から、多くの人々に愛され続けています。


肉づくまたはナッツメグ Nutmeg

肉づく(ナッツメグ)は、にくづく科の常緑樹であるMyristica fragransの種子から得られる重要な香辛料の一つです。年間の生産量は約1万トンと推定されています。ナッツメグの原産地はモルッカ群島で、現在はインドネシアや西インド諸島で栽培されています。特に、西インドのグレナダ島では世界のナッツメグの約40%が輸出されています。

ナッツメグは、種子が粉砕されて水蒸気蒸留されることで精油が得られ、年間約60トンの精油が生産されています。この精油は、食品や菓子用の香料として使用されていますが、大部分は粉砕されて香辛料として肉製品やソース、スープ、デザートなどに用いられています。ナッツメグは独特の甘い香りと温かみのある風味を持ち、料理に深みを加えるための重要な材料となっています。

また、ナッツメグには消化促進作用や鎮痛作用があるとされ、伝統的な民間療法でも利用されています。しかし、過剰摂取には注意が必要であり、特に妊婦や子供には控えることが推奨されています。

持続可能な栽培方法への取り組みも進められており、環境に配慮した農法や品質管理が行われています。ナッツメグは料理だけでなく、香りや健康効果からも多くの人に愛されている香辛料です。

Cinnamomum zeylanicum
Myristica fragran シンガ゜ポール植物園  2008年5月
Cinnamomum zeylanicum
Myristica fragran  オーストラリア・ケアンズ フォッカー植物園 2007年6月
(1996.10.15より) /最終更新日 2000年8月1日

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