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木と香り

現在香料として利用されている、樹木をピックアップ

分泌物から香料のとれるもの

正常な植物体では生成されず樹皮などの傷口より流出する病理的生産物である。傷口より産する乳状のラテックスは空気と日光にされられると酸化などにより固化し、固くこわれ易い樹脂となり香料として使用される。


ベンゾイン Benzoin

ベンゾインは、エゴノキ科の樹木から得られる香料で、特に重要なものとしてシャムベンゾインとスマトラベンゾインの2種類があります。シャムベンゾインは、Styrax tonkinensisという小樹から採取され、インドシナ地方が原産です。この樹木は、樹皮を傷つけることで生じる樹脂を利用しており、主成分はベンゾエート類で、高価な香料とされています。

一方、スマトラベンゾインはStyrax benzoinから得られ、スマトラやマラヤに広く分布しています。この樹木から採れる樹脂は、主にシンナメート類が成分であり、相対的に安価で流通しています。

両者ともに、樹皮に傷をつけることで得られる樹脂を有機溶剤で抽出し、溶剤を蒸発させることによりレジノイドの形で精油を生成します。この精油は、香料調合に非常に広く用いられ、特に石鹸香料の保留効果を高めるために重宝されています。

また、ベンゾインには甘く、バルサミックな香りがあり、香水やアロマテラピーにおいても人気があります。リラックス効果やストレス緩和、抗菌作用があるとされ、伝統医学でも使用されています。さらに、ベンゾインはその特性から、樹脂が時間とともに香りが変化し、熟成することで深い香りを持つようになります。

現在、持続可能な生産方法が求められており、環境への影響を考慮した栽培方法や採取方法の導入が進められています。ベンゾインは多様な用途を持つ貴重な香料であり、香りを楽しむだけでなく、さまざまな健康効果も期待されています。

ハクウンボク
Styrax tonkinensisの同科のハクウンボク(Styrax obassia) 大阪市立大学付属植物園 2015年5月

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