そこで、外材大量供給・外材主導体制から国産材時代へ移行してゆく過渡期において、価格面においてどういうことが問題になるかを考えてみる必要があります。その一つとしては、外材時代と国産材時代の運賃差額が上げられましょう。
外材の場合には、例えば米材の場合は、太平洋岸ですと、北海道、仙台、千葉、東京、静岡、名古屋、大阪、広島、四国、九州と、全く同じCIF価格で入ってくるわけですから、全国一率の価格であると言えます。外材が圧倒的に多い場合には、それはそれで一つの価格体系が成り立っているのでよいわけですが、国産材供給が徐々に多くなっていく移行期においては、それが大きなギャップとして、国産材にとっては一種の重荷として、現われてきます。具体的に言いますと、宮崎から大阪や東京に材を持ってくるとき、現在は九州でも大阪でも東京でも、そこでの木材価格は米栂の価格が基準になって設定されているので同じ水準ですから、宮崎から大阪へ、宮崎から東京への運賃分だけ、宮崎県産の木材にとっては手取り価格が安くなります。つまり、地場の価格は米栂を基準にした価格であり、国産材の価格は、消費地から産地までの運賃分の差額だけマイナスになります。ですから、地場で細々と売っているところは、地場の価格はそれなりに安いか高いか設定されているのでよいのですけれども、大量に売るために距離のはなれた消費地へ材を持ってゆこうということになると、運賃分だけ丸々マイナスを背負わねばならないということになります。だから、県産材を振興するために、運賃差額分だけを県が補助しようかという発想が、現在の価格メカニズムの中で、過渡期を乗り切るために出てくるわけです。国産材が木材価格のイニシャティブを握るようになれば、この問題は解消するでしょうが、これから一〇年くらいの外材と国産材とが激しく競争を続ける間は、産地が一番苦しむ問題として、たちふさがり続けるでありましょう。
この運賃差額の問題をどう解決するか、その方法としては、現在宮崎県で行っているように、しばらくの間は運賃差額分だけは県が補助するといった方法をとらないと、いつまでたっても国産材を大量に出すことができないということになります。産地の人々の考え方が、「損をする間は誰かに損をさせておいて、損をせんようになってきたら自分も出材して売ろうかいな」ということであると、いつまでたっても大量供給、組織的な供給というものができない。「損する間はやらん」というのは、これもソロバンですから止むを得ないのですが、そうであるならば、やはり民間の力だけに頼るということではいつまでたってもニワトリとタマゴのような関係になってしまうので、行政的な助成の手が何らかのかたちで差しのべられることが必要であろうと思います。