建築需要についての悪い面についてあげますと、鉄筋コンクリートのマンションが増えてゆくなかで、使用木材の原単位がだんだん落ち込んでいるということがあげられます。いままでは鉄筋住宅の中の建具とか窓枠とか押入れの枠とか、あるいは取付け家具とかいったものは木材であったわけですが、すでに取付け家具はプラスチック系のセットでできているとか、建具や窓枠も木の杢目を印刷したアルミ製品(アル木の商品名で売っている)であって、見た目では分からないけれども、触ってコンコン叩いてみたら木ではないというように変わってきています。こうしたプラスチック系の製品の進出が、火災の際に死亡事故を増加させる原因になっていると私は思いますが、それはともかく、マンションの中の木材の原単位が加速度的に減退していることは事実です。
だから、一般の人たちの嗜好が、一戸建て住宅に余計に向かったり、マンションの中に本物の木の机や木のクラフトなどを欲しがるというような、逆の現象を生む原因にもなっていると考えられますが、それぞれの企業の企業戦略の中で一般の人たちが非常に振りまわされている中で、それに私たちがどう対処すべきか模索しながら、新たな需要を開拓してゆくという厳しい努力が要求されている時代であると考え、その努力を積み重ねばならないでありましょう。