木造三階建てについては、大阪の木材工場団地協同組合で実験的に建ててみようとしていますけれども、これが安く建築できるということになってきますと、坪いくらまでの土地であれば三階建ての方が有利であるということがハッキリと出てくると思います。「坪六〇万円のところであれば三階建てが有利ですよ」あるいは「坪四〇万円の土地までも行けまっせ」というように、木材関係者がハッキリ言うことができる。日本住宅・木材技術センターのご苦労で折角木造三階建ての道が開かれたのですから、木材業者自らの手でそこまでやらなければ怠慢だとせめられてもいたし方ないことであろうと思います。
木造三階建てが普及してくると、四寸角だとか四寸五分角だとかの木材が大量に使用されるようになるわけですから、木材業者にとって非常にありがたいことであるはずです。三寸五分角であれば節が出てくる材であっても、四寸角にすれば節が出ない、四寸五分角にすれば節が出ない、という材は枝打ちが遅れているところでも少なくありません。しかも、需要が三寸五分角に限定されずに、三寸五分、四寸、四寸五分というように多様化されてゆくならば、歩止まりがよくなってきますから、製材所や山の人たちはそれだけ多くの所得を得ることができるということです。こうしたことを考えるならば、施策の変化を敏感に受けとめ、それを木材需要の拡大、木材経営の改善へ結びつけてゆく自主的な努力を、それこそ川上も川下も一体になって進めねばならないと言えましょう。