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木材流通

第4章 木材供給の変化をどう見るか  

大工さんたちは木材がなくなると不安を抱いている

大阪近郊のある工務店の社長に、私が「ここ数年もすれば国産材の柱が、大量に出材してきますよ」という話をしたとき、その社長は「実は私の所の大工さんが、新聞には南方の山が裸になって砂漠化していると書いてある。世界の木材はなくなってしまうという記事がたくさん記載されている。日本では需要のほとんどを外材でまかなっていて、国産材はほとんどないということだから、我々木造住宅ばかり手がけていれば仕事ができなくなるのではないか、早くマンションの内装屋か、プレハブ大工になるほうがよいのではないかと弟子たちと話をしていたので、中川さんから国産材が沢山植わっておって、近々沢山出材されてくるから、木造住宅をどんどん建築しても、木材がなくなることはないということを話してもらえないか」ということでした。

 早速夜七時から九時まで熱心に話を聞いてくれて、ディスカッションに夜遅くまでついやしましたが、大工さんたちが喜んで心晴々として帰って行った姿をみて、私は木材を使っていただく一番のお得意さんがこんなことではいけないな、こうした方々に対してこそ建築用材が不足することは絶対にないことをPRしなければならないなと痛感したのでした。

 また、ある時、大手建売不動産会社の大阪支店長さんから、「中川さん、いま内地の細い丸太が沢山でてきても、現在の製材所は外材の太い丸太用の大きな製材機だから挽けないということを聞いたのですが、どうなんですか」と聞かれたことがあります。私は、「昭和三六年頃から、米栂材の中級材が沢山入荷し始めて、山元の製材所は内地材が少なくなったので閉鎖し、政府の応援もあり、臨海地帯に木材団地を作って外材挽きの製材所を作ってきたのですが、これから内地材丸太が多くなって、外材は製品が増えてくるので、臨海地帯の堀を埋立てて製品倉庫を作り、山元にはまた新しく製材工場を造るようになるでしょう。木材は海から入荷していたのが、また元のように木材は山からに戻ってきたので、製材所もそれに対応して新設しているので決して心配いりません」と答え「あ、そんな状況ですか、よくわかりました」ということになったのですが、こうした会話がかわされたという事実を知っていただくことが必要だと思います。


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