3 |
家具 |
家具店 |
角の家具店の飾り窓を見ていた。 |
3 |
ワタ |
棉のような雪 |
棉のような雪が薄闇の迫る中を静かに舞い降りていた。 |
17 |
柵 |
腰高の柵が |
彼女のそばに腰高の柵があって |
25 |
櫛 |
櫛の歯を引く |
壮丁は毎日櫛の歯を引くように連れ去られているのである |
48 |
家具 |
家具店 |
家具店の飾窓 |
51 |
白木 |
白木の机 |
白木の机が一脚持ち出されていて |
57 |
松丸太 |
松丸太のような腕 |
岡﨑はムッとして、松丸太のような腕を組んだ |
58 |
桃色 |
桃色の夢 |
青年の桃色の夢などからは遥かに遠いところにいた |
69 |
とまり木 |
とまり木 |
女がいつの間に男のとまり木になるか |
83 |
ツタ |
金蔓 |
金蔓をぶった切られてたまるもんか |
83 |
ツタ |
蔓 |
蔓は枯れても、瓜は畑に転がっていたってね |
84 |
白木 |
白木の箱 |
俺が白木の箱に入って帰るようなことになっても |
85 |
枝 |
枝のように |
枝のように多くの狭い坑道を出し |
86 |
木陰 |
中腹の木陰 |
たいてい山の中腹の木陰あたりに遺棄されているのを発見されるが |
88 |
支柱 |
古ぼけた支柱 |
梶は古ぼけた支柱に触りながら、奥へ進んだ |
92 |
若葉 |
若葉 |
若葉から生臭い生命の匂いを立てさせていた |
93 |
上框 |
上り框 |
美千子は玄関の上り框(かまち)に積まれた品物の山を前にして |
94 |
林 |
林の中 |
林の中に点々とある日本人社宅を結ぶこの小道から |
94 |
木立 |
木立ちの間 |
木立の間にチラホラと見える眺めは |
94 |
立木 |
立木の中 |
立木の中にはアカシアが混っていて |
94 |
アカシア |
アカシア |
立木の中にはアカシアが混っていて |
94 |
若葉 |
若葉の間 |
白い蕾の房が若葉の間から垂れ下り |
94 |
林 |
林 |
林が夜の闇の底に沈むまで |
95 |
木 |
木の間 |
夕陽の光が木の間を縫って |
95 |
梢 |
梢を掠める |
塒(ねぐら)へ急ぐ鳥の声が梢を掠(かす)める |
95 |
林 |
林の中 |
夜が林の中に忍び込む |
95 |
木 |
木の下 |
木の下道を歩く人影はない |
95 |
木 |
木の間 |
青白い光を木の間にさし伸べていた |
99 |
柱 |
電柱の蔭から |
電柱の蔭から人影が走り出て来て |
101 |
木 |
木の下 |
木の下に澱(よど)んでいる若葉の匂いが |
101 |
若葉 |
若葉 |
木の下に澱(よど)んでいる若葉の匂いが |
107 |
木 |
木の枝 |
木の枝の折れる音が静かな夜気をおびやかした |
124 |
林 |
林 |
道が林に分け入るところで別れた |
136 |
林 |
闇の林を |
凄まじい閃光が闇の林を真二つに引き裂くと |
153 |
木陰 |
木陰 |
広場の端の木陰へ向って手を振ると |
212 |
杉丸太 |
杉丸太 |
杉丸太の手摺に尻を載せている女達がゲラゲラと笑った |
213 |
杉丸太 |
杉丸太 |
杉丸太に腰かけていた女が一人 |
216 |
木 |
木のように |
木のようにそばに立っていた |
248 |
桃色 |
桃色 |
の薄い支那服 |
274 |
木 |
長い木の腰掛 |
その窓の下に長い木の腰掛を並べて寝ている |
276 |
実 |
実の入った |
びっしりと実の入った感触に手ごたえがあった |
277 |
バナナ |
バナナの実 |
金東福があのバナナの実のように白いふとも |
277 |
木 |
木を叩いた |
天井で、木を叩いたような大きな音がした |
322 |
若芽 |
若芽 |
冬ノ厚イ氷ニ春ノ柔ラカイ若芽 |
326 |
薪 |
薪 |
ソシテ死体ヲ薪ノヨウニ積ミ重ネテ |
327 |
草ノ葉 |
草ノ葉 |
肛門ヲ拭クトキニハ小石カ草ノ葉ヲ用イルノデス |
354 |
乾糞場 |
乾糞場 |
採鉱所から一里ほど離れた野原にある乾糞場での乾糞作業のことである |
354 |
乾糞作業 |
乾糞作業 |
採鉱所から一里ほど離れた野原にある乾糞場での乾糞作業のことである |
354 |
乾糞肥料 |
乾糞肥料 |
乾糞肥料として近隣の農村へ配布されている |
356 |
乾糞場 |
乾糞場 |
特殊工人を連れて乾糞場へ出かけた |
356 |
柵 |
柵 |
彼らは柵や鉄条網で囲われていない大地に立って |
357 |
棉 |
棉 |
梶だけが棉のように疲れていた |
358 |
板の間 |
板の間 |
美千子は板の間へ上って |
358 |
簀子 |
簀子 |
美千子が簀子(すのこ)へ下りて来るまでの僅かな間 |
360 |
簀子 |
簀子 |
梶は簀子に下りて。坐った。 |
361 |
簀子 |
簀子 |
美千子は吸い寄せられるように湯舟から簀子へ下りて来た |
361 |
乾糞場 |
乾糞場 |
乾糞場へのピクニックは二三日おきに数回続いた |
370 |
柳の木 |
柳の木 |
道ばたの柳の木の下から、声があった |
370 |
柳の幹 |
柳の幹 |
柳の幹から離れていなかった |
373 |
乾糞場 |
乾糞場 |
乾糞場の方も乾かない |
373 |
乾糞場 |
乾糞場 |
乾糞場の片付けと、汲み取りをやらせる |
374 |
枯葉 |
枯葉 |
枯葉が一つ二つ散りはじめた木の下道を歩きながら |
374 |
木の下 |
木の下 |
枯葉が一つ二つ散りはじめた木の下道を歩きながら |
375 |
紅玉 |
紅玉 |
紅玉を樹からもぎ取って食べるの |
375 |
樹 |
樹 |
紅玉を樹からもぎ取って食べるの |
375 |
りんご |
林檎園 |
あとで林檎園に行きましょうね |
393 |
りんご |
林檎園 |
あたしね、林檎園に行きたいの |
393 |
りんご |
林檎 |
林檎は人間の痛みに触れないだろう |
393 |
りんご |
林檎園 |
林檎園の入口に、「来園歓迎、園内喰べ放題」と書いてある |
393 |
紅い実 |
紅い実 |
たわわに紅い実をつけたをゆっくりと歩いた |
393 |
木の下 |
木の下 |
たわわに紅い実をつけたをゆっくりと歩いた |
393 |
りんご |
林檎 |
靖子は林檎を二つもぎ取って、一つを美千子に渡して |
394 |
りんご |
林檎 |
二人は林檎をもぎ取りはじめた |
394 |
緑 |
緑 |
美千子は葉の緑の影を顔に受けて |
398 |
りんご |
林檎 |
靖子はまた手早く林檎を籠に入れて |
399 |
電柱 |
電柱 |
労務の前の四角な広場の電柱の蔭に隠れて |
403 |
草の葉摺れ |
草の葉摺れ |
梶は草の葉摺れを用心しながら |
446 |
棒杭 |
棒杭 |
梶は闇の中の棒杭のように一ヵ所に立ちつくしていた |
465 |
木 |
木 |
工機係の手が木のような音を立てた |
477 |
木石 |
木石 |
二人の憲兵が急に木石のような顔になって |
503 |
枯葉 |
枯葉 |
窓の外で枯葉がカサカサと鳴っていた |
536 |
白木 |
白木 |
白木の椅子に腰かけている梶は、もう、顔がいびつになっていた |
536 |
白木の床 |
白木の床 |
白木の床が変に生々しい部屋の真ん中に梶は据えられた |
538 |
白木 |
白木 |
この白木の部屋の中では不必要であった |
539 |
白木 |
白木 |
彼は窓ぎわの白木の椅子に後ろから前にかけて |