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ID:
33276
年:
2015
月日:
0615
見出し:
ほぼ木製の半導体チップ開発 ウィスコンシン大教授ら
新聞名:
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
元UR(アドレス):
http://jp.wsj.com/articles/SB11793851007525823752504581046453889308130
写真:
【動画】
記事
緑豊かな米ウィスコンシン州の科学者チームが、木を使って生物分解が可能なコンピューターチップを製造する方法を開発した。
本来、木をチップ状に細かく砕いたものを指す「ウッドチップ」に、新たな意味が加わることになりそうだ ウィスコンシン大学の電機・コンピューターエンジニアリング学部教授の馬振強博士は2007年のランチタイムに業界紙で数多くの電子機器が毎年廃棄されているという記事を読み、木製コンピューターチップの研究を行うことを決意したという。 米環境保護局(EPA)の推計によると、10年の時点で「使用済み(EOL)管理」となるモバイル電子製品は1億5200万台に上った。
リサイクルされる製品はほとんどなく、多くはまだ使用可能だった。 こうした電子機器の心臓部である半導体チップは製品の頭脳として信号処理や記憶などの極めて重要な機能を果たす。
その材料にはシリコンが使われている。
「シリコンバレー」という名前はここから生まれた。
最近では、携帯電話にふさわしい特徴を持つガリウムヒ素を材料とした半導体が広く使われている 馬博士によると、シリコン製の半導体もガリウムヒ素製の半導体も環境問題を引き起こす。
半導体チップに必要とされる高純度のシリコンを生産するには大量のエネルギーが必要だ。
ガリウムヒ素製のチップには毒素が含まれていて、リサイクルが難しい 同氏は半導体の材料としてより環境にやさしい素材を見つけて環境への負荷を減らそうと、ウィスコンシン大学の同僚やマディソン市に拠点を置く米農務省林産研究所の科学者と共同で研究を行った。
研究チームには1つ有利な点があった。
多くの場合、コンピューターチップで最も重要な部分は一番上の薄 い層だけ。
馬氏によると、残りは、特別な性質を持つものの単なる足場的存在だ ガリウムヒ素製マイクロチップの一部分 Silicon Transistor Corporation/A. Sternberg/Science Source そこで研究チームは全てが木でできたセルロース・ナノファイバー(CNF)製の紙でこの足場を作る方法を見つけ出した。
ナノテクノロジー製品の操作はごく小さなレベルで行われる。
研究チームによると、CNFチップはほとんどのチップが搭載される基板(ウエハー)に必要な強度、熱伝導率、電気的特性を備え ているという。 木製製品には湿気を吸収して膨張する性質があるため、研究チームは対策としてエポキシ樹脂で紙製のチップにコーティングを施した。
偶然にもCNF製の紙は透明で、馬氏はその特性が将来的に情報の表示などで役立つかもしれないと話す 過去の実験では、生物分解が可能なウエハーは性能が不十分であることが多かった。
しかし、馬氏と、Shaoqin Gong氏率いるウィスコンシン大学の生体医用工学チームによる研究室の試験では、CNFチップの性能は通常のチップとほぼ変わらないことが分かった。 木製の半導体チップの大部分は生物分解が可能だ。
試験では、一般的な菌にさらされるとかなりのスピードで分解した。
例えば、エポキシ樹脂でコーティングされていても、28日間で重量は10%減少した。
馬氏は最終的にはコーティングも分解されると話す 薄いガリウムヒ素の層は残るが、馬氏によると、それでも全体としては、CNFチップのガリウムヒ素使用量は通常の半導体の3000~5000分の1だという。
その分、CNFチップのほうが経済的で環境にもやさしいものになる可能性がある。 (馬氏らの論文「High-Performance Green Flexible Electronics Based on Biodegradable Cellulose Nanofibril fff:
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