v11.0
- ID:
- 28320
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0812
- 見出し:
- 日向薬師に鎌倉時代の古材、「頼朝が修復」裏付けか/伊勢原
- 新聞名:
- カナロコ
- 元UR(アドレス):
- http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1308090016/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
約270年ぶりの大規模改修が行われている国指定重要文化財の日向薬師・宝城坊本堂(伊勢原市日向)。
解体した部材を同市教育委員会などが調べたところ、鎌倉時代前後に伐採された古材であることが明らかになった。
工事の副産物が歴史を解き明かす手掛かりとなるのか-。
日向薬師には源頼朝
が宝城坊を修復したと伝える縁起が残されており、専門家は伝承を裏付ける“新たな物証”として関心を高めている。
市教委文化財課によると、改修工事の過程で中世のものとみられる木材を発見。
年輪と放射性炭素による測定法で伐採年代を調査したところ、12~14世紀と判明した。
工事や調査を手掛けている文化財建造物保存技術協会の矢野昭洋さん(宝城坊本堂設計監理事務所所長)は「1100年代の木材もあった。
まだ調査中だが、頼朝による修復が行われた事実が裏付けされつつある」と指摘。
鎌倉幕府を開いた頼朝と日向薬師とのつながりを示す数々の伝承が解明される
糸口になるのでは、と期待を寄せる。
日向薬師に伝わる縁起には、建久年間(1190~99年)に後鳥羽天皇が頼朝に令を下して修復したという記述がある。
鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」からも、頼朝や妻の北条政子が宝城坊を参詣したとされており、今回の調査結果が、これらを証明する手掛かりとなりそうだ
宝城坊は奈良時代の716年、僧・行基によって開創。
約1300年の歴史があり、1995年には国重要文化財に指定された。
老朽化やシロアリ被害により建物全体の損傷が進み、2011年から16年までの予定で解体修理工事が進められている。
江戸時代初期に大規模な修理が行われた記録があることから、当初は約350年ぶりの大改修とされたが、約270年ぶりとの見方が強まった。
解体作業中には、天井板の裏側に「延享二年」(1745年)と記された墨書も見つかっている。
今回の解体修理では、残されている部材を可能な限り再利用する考え。
矢野さんは「古い部材を残すことが文化財としての価値を維持する」と話しており、現在は損傷した部分に新しい木材を添えたりする作業を進めている
fff: