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- ID:
- 27982
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0624
- 見出し:
- 「組手什」生産 全国に 愛知生まれの組み立て部材
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013062402000007.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
愛知県で生まれた「組手什(くでじゅう)」という名の組み立て部材の生産が全国に広がり始めた。
原料は地元の端材や間伐材。
使い方に合わせて自分で組み立てられるキットに加工することで、木を使った暮らしを身近にした。
東日本大震災の被災地・宮城県でも生産が始まり、避難所や仮設住宅で使われ
た。
復興で新築された同県名取市図書館の書架はすべて組手什で作られた
「避難所のついたては、いろいろな物が使われた。
けれども棚にもなり、仮設住宅、その後ついのすみかへ移るたびに自分たちの手でばらし、住宅に合ったサイズにできるのは組手什しかなかった」
登米町(とよままち)森林組合(宮城県登米(とめ)市)の竹中雅治さん(46)は振り返る。
東日本大震災直後、避難所のプライバシー確保のために使ってもらおうと、組手什を製作、販売していた愛知県と鳥取県から、宮城県と岩手県の避難所に寄贈された。
国土緑化推進機構の復興支援として資金が得
られた
同組合は当初、組手什の配布や組み立てを手伝い、二〇一一年六月ごろには現地で間伐材を使って生産を始めた。
「間伐材の有効利用は震災前から課題だった。
寄贈を受け、被災地ではかなり認知され、売ってないの、という声があった」。
昨夏からネットショップを通じて通信販売を始め、売れ行きは好
調という
◇
組手什は丸太から柱を取った残りの端材から切り出した細い平板。
長さ約二メートル、幅約四センチ、厚み約一・四センチで八センチ間隔で切り欠きが入っている。
のこぎりで切って組み合わせ、くぎを使わずに棚や椅子、間仕切りなどを作れる。
三段の本棚一つ分の材が約一万円
開発のきっかけは〇七年、住宅総合イベントで「あいちの木で家をつくる会」が、展示に使う角材の端材を持ち帰るよう、製材所から求められたことだった。
「木造家屋が新築されるたびに端材がごみ扱いでは、循環型社会を目指す会の趣旨と外れてしまう。
端材で陳列棚が作れれば、無駄のない地域材利
用を提案できると考えた」と事務局長の渡辺径さん(64)。
会員で建具職人の都築宏行さん(53)が「障子の桟で使われる、切り欠きを入れる組手加工にすればいい」と提案した
宮城県石巻市の避難所で使われた組手什=2011年6月(組手什おかげまわし協議会提供)
写真
名古屋市東区の「長坂木材」の長坂洋さん(57)らと工夫を重ね、実用化。
展示会や学会、事務所などで使われるようになった。
加工標準を定め「組手什おかげまわし協議会」をつくり、鳥取県のNPO法人や登米町森林組合、宮城県の木材会社に技術移転した。
協議会代表の長坂さんは「特に技術の囲
い込みはしていない」と言い、把握していないが他の地域でも生産されているようだ
端材はかつて住宅の壁の下地材として使われたが、合板に取って代わられ、チップや燃料などとしてしか用途がなくなった。
長坂さんは「僕は材木屋の三代目で、丸太をいかに無駄なく使うか教えられたから、使える所を捨て続けるのはためらいがある。
身の回りにある木を使って暮らすことを残したい」という
名取市図書館は被災後に新築した館内の書架すべてに、寄贈されたり購入したりした組手什を使った。
図書館の職員、ボランティア、森林組合らで組み立てた、宮城県のスギの間伐材だ。
柴崎悦子館長(51)は「薄いのでたわむのでは、と心配したが一年以上たっても大丈夫。
木造の建物と雰囲気も合って
、評判も良い。
地元の木材を使えてよかった」と話す
◇
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