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- ID:
- 27382
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0410
- 見出し:
- 未来と課題:’13日南市長選/上 飫肥杉の産地衰退
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20130409ddlk45010594000c.html
- 写真:
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- 記事
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放置林増 「山は財産」危機感募る。
日南市東弁分の木材市場「日南林産物流通センター」。
山から切り出されたばかりの杉の原木が次々に運ばれては、広大な敷地に山積みにされる。
その数、約1万本。
飫肥杉の産地として名高い地元ならではの光景は壮観だ。
が、この数年、出荷者会の西山継文会長(63)の表情は晴れない。
「日南
の林業は死にかかっている」
市水産林政課によると、市内の木材価格は昨年6月、1立方メートルあたりの平均価格で6400円と史上最低を記録。
その後も1万円以下の状態が続いている。
「運搬費や人件費、山主に支払う山代を考えると、最低でも1万2000円はないと成り立たない」と西山会長はため息をつく
一帯の飫肥杉は江戸時代、造船材として高い人気を誇り、戦後も油津港から韓国へ造船用に輸出され、収益の柱となった。
しかし、1980年ごろを境に需要が減り、ここ数年は円高の影響もあって構造不況が続いている。
住民には「山は財産」との意識が強い。
代々受け継いだ山を大切に手入れし、子どもの進学や結婚などまとまった資金が必要な時に伐採し、新しい苗を植栽する。
しかし「切れば切るだけ赤字が出る」(西山会長)状況になり、最近は植栽後も手入れされない放置林が増加しているという。
市内は面積の約55%が杉の人工林だ。
天然林と違って、定期的に除伐や間伐をしないと貧弱な木が密集した状態になり、土砂崩れなどの原因になる。
放置林が増えれば、土地の保全や防災面での心配も増す。
市の林業の年間生産額は、串間市と合わせて約8億5800万円(11年)。
100億円以上
の農業や漁業と比べ経済規模は大きくないが、実際の影響は計り知れない
市は07年に「飫肥杉を活用した日南再生プロジェクトチーム」(通称・飫肥杉課)を発足させ、飫肥杉を使った家具やギフト製品のPRに力を入れる。
市議会は今年2月、市内の公共施設に飫肥杉を使う「飫肥杉材等の地域材利用の促進及び豊かな森づくりに関する条例」を可決した。
しかし、西山会長ら関係者は危機感を募らせる一方だ。
「このままでは山を手入れし、守る人もいなくなる」
◇ ◇
日南市長選は14日投開票される。
現職と新人2人が立候補し、激しい選挙戦を展開している。
有権者はどんな選択をするのか。
市の課題を探った
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