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    ID:
    24265
    年:
    2012
    月日:
    0511
    見出し:
    森林総合研究所、木材からのアセトアルデヒド放散要因を解明
    新聞名:
    日本経済新聞
    元UR(アドレス):
    http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=309341&lindID=5
    写真:
    -
    記事
     ・木材からのアセトアルデヒド放散要因としてエタノールが関与していることが明らかになりました  ・木材にエタノールが触れないようにすることで、アセトアルデヒドの発生を抑えることができます <概要>  アセトアルデヒドは自然界において生物の代謝過程で生成する物質であり、人体でも飲酒したときにエタノールが分解される過程で生成することが知られています。
    また、毒性を有するため、二日酔いの原因物質ともいわれています。
    一方、アセトアルデヒドは室内空気中に検出されることがあり、シックハウス の原因物質の一つとされていますが、室内にどのような仕組みで発生するのかはよく分かっておらず、解明が急がれていました。
    私たちは、木材にエタノールを塗るとアセトアルデヒドが発生し、この現象がヒトの体内と同様、アルコール脱水素酵素(ADH)の働きによるものであることを解明しました。
    これにより 、木材とエタノールの接触を防ぐことが、アセトアルデヒドの発生を抑制することに有効であることを明らかにしました。
    この成果は、Journal of Wood Science Vol.58、No.1(2012年2月)に掲載されました。  予算:文部科学省科学研究費補助金  「木材とエタノールの反応によるアセトアルデヒド発生機構の解明」 <背景>  住宅が原因で体調不良になる、いわゆるシックハウス症候群が1990年代に問題となり、厚生労働省は2001年までに13の化学物質について室内濃度指針値を策定しました。
    その後、2003年に建築基準法が改正され、住宅の内装に使用される建材のホルムアルデヒド放散量を法的に規制するなどの 対策がとられてきました。
    またトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの4つの揮発性有機化合物(VOC)に関しても、建材関連業界での自主規制が行われてきました。
    これらの物質は主に接着剤や塗料に含まれるため、製造の過程で制御することで放散を減少させることができました。
    しかし、指針値 の対象となっている13物質の一つであるアセトアルデヒドに関しては、その発生源は特定できていませんでした  森林総合研究所では、様々な木材や木質建材からのアセトアルデヒド放散量を測定していく過程で、木質材料製造の際に使用される接着剤や塗料の中にエタノールが含まれる場合に、特異的にアセトアルデヒドが放散される現象を見いだしましたが、このメカニズムについては不明なままでした。
    アセトアル デヒドは、人体内でもアルコールを飲んだときに最終的に酢酸へと分解していく過程で生成する中間代謝物としてよく知られています。
    この体内での変換はアルコール脱水素酵素(ADH:Alcohol dehydrogenase)によるものであることがわかっています。
    木材も樹木として生きている間はADHを持っていることが知 られています。
    そこで本研究では、木材中のADHによりエタノールがアセトアルデヒドに変換されるという仮説に基づき、木材がどのような状態のときにこの作用が働くかについて、試料から放散されるアセトアルデヒドを簡便に捕捉できる測定法を開発して試験を行いました。
    (図1) <結果>  まず、木材のみの場合とエタノールを添加した木材の場合で、シリンジ内(30℃、24時間後)に放散されるアセトアルデヒドの量を比較しました(図2)。
    その結果、木材のみでは定量下限値以下でしたが、エタノールを添加した場合は、いずれの条件でもアセトアルデヒドが検出されました。
    また比較のために 使用したろ紙では、この現象は認められませんでした。
    次に木材のどの部分でこの作用が大きいかを調べた結果、エタノールを添加したときのアセトアルデヒド放散量は、スギもヒノキも心材の方が大きいことがわかりました。
    これまでにスギについては、樹木の状態では辺材の形成層付近にADHが多く分布す るという報告があります。
    しかし、今回の結果では心材の方が辺材より放散量が大きかったため、材内に残存するADHだけでは説明がつきませんでした  そこで、ADHを持つ菌体が伐採後に外部から付着する可能性があるかどうかについてスギの心材を使って調べました(図3)。
    その結果、伐採後すぐの乾燥していない生材にエタノールを添加した場合、アセトアルデヒドの放散が認められ、元々樹木に存在していたADHが心材にもいくらか残存していることが 示唆されました。
    また常温で2週間室内に放置しておいた気乾材の場合には、発生するアセトアルデヒドがより大きいことがわかりました  さらに、木材を滅菌処理した後でエタノールを添加すると、アセトアルデヒドの発生が大きく減少することがわかりました。
    常温のガス滅菌処理では、生材に対してはあまり抑制効果が見られませんでしたが、高温滅菌処理では完全に発生を抑制することができました  常温ガス滅菌の場合、菌体は死滅しますが、ADH自体は死活していないことが考えられます  以上の結果から、エタノール添加による木材からのアセトアルデヒド放散は、元々木材中に存在するADHによるものと、伐採後の何らかの加工過程で空気中から木材に付着した菌体が持つADHとの複合作用によるものであるという機構が推定されました。 ※以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照 fff:

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