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2011年- 平安後期の木製農具 |木製品、木、木工などのネット新聞情報 |木の情報発信基地
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- ID:
- 49888
- 年:
- 2011
- 月日:
- 0303
- 見出し:
- コロバシ 県内初出土 平安後期の木製農具
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110303/CK2011030302000080.html
- 写真:
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- 記事
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県埋蔵文化財調査事業団が発掘調査した伊勢崎市豊城町の大道西遺跡から、11世紀後半ごろ(平安時代後期)の稲作に使った木製農具「コロバシ」が出土したことが2日、明らかになった。
当時のこの農具が出土したのは全国で数例と珍しく、県内では初めて。
事業団はコロバシの分布を考える上で貴重
な発見とみている。
(菅原洋)
事業団によると、調査は男井戸(おいど)川の改修工事に伴い行われ、コロバシは二〇〇九年二月に水田跡に近い水路と古代の道路が交差する地点の深さ約一・三メートルから出土。
一帯が湿地帯のために保存状態が良く、ほぼ完全な形で残っていた
形は円柱に近く、大きさは長さ一二〇・六センチ、直径三一・四センチ。
クヌギの丸太一本を七枚の歯車状に加工し、溝の深さは五~十センチ程度。
両端部の側面には、それぞれ直径約二センチで深さ六センチと十二センチの穴が開いていた
二つの穴に軸を差し込み、その両軸にひもなどをかけ、人や牛馬が本体を回転させながら引っ張ったとみられる。
田植え前に水を張り、土を軟らかくして平らにしたり、肥料を土に混ぜる役割があったと考えられる。
名称は「転がす」に由来するらしい
木材は他の出土例でも水に強く、重くて硬い広葉樹を主に使っている
コロバシは出土後、保存処理や年代測定の作業を進めてきた。
今月末に刊行する報告書に今回の発見を記載する予定
当時のコロバシは北陸、東北両地方などで出土例があるほか、中国や台湾でも似た形の農具が見つかっている。
青森、沖縄両県では名称は異なるが、似た形の農具を二十世紀まで使った記録がある
事業団の斎藤聡主任調査研究員は「コロバシは県内では、平安後期以降に使用例は確認できない。
この時代に関東地方まで伝わっていたという分布を示す貴重な発見」とみている
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