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2011年- 木の国は「優しい混沌」 |木製品、木、木工などのネット新聞情報 |木の情報発信基地
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- ID:
- 49365
- 年:
- 2011
- 月日:
- 0105
- 見出し:
- 新春知事インタビュー 木の国は「優しい混沌」
- 新聞名:
- 産経新聞
- 元UR(アドレス):
- http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/wakayama/110105/wky1101050205000-n1.htm
- 写真:
- -
- 記事
-
「第62回全国植樹祭」は5月22日、田辺市たきない町の新庄総合公園を式典会場に行われる。
和歌山では昭和52年以来の開催。
実行委員会会長を務める仁坂吉伸知事に、植樹祭への抱負や和歌山の森林の魅力、全国発信に向けた取り組みなど「森と緑」への思いを聞いた。
(聞き手 堀川晶伸・
和歌山支局長)
■県民みんなの思いを
--いよいよ5月に植樹祭が行われます。
まず県としての抱負を
仁坂 僕の就任のときからの「たくらみ」なんですけど、できるだけ儀式性みたいなものを排し、心の温まる植樹祭にしようと思ってるんです。
具体的には森や木に対する思いが県民みんなから出るようにしたい。
和歌山はその資源がものすごくあるんです
--「資源」とは
仁坂 まず県を覆う森です。
2番目に神話がある。
伊太祁曽(いたきそ)神社(和歌山市)には木の神様が祭られています。
全国に林業を広げた神様なので、そういう意味では、植樹祭を毎年(和歌山で)開催してもいいぐらい(笑)。
そして子供。
森を守る、木を愛する気持ちを1番引き継いでほしいのは子供
たちなんです。
今、竹ポットでドングリを育てているんですね。
会場で両陛下にごらんになっていただいた後、子供たちにそれぞれの裏山や鎮守の森などに植えてもらえればと思っているんです
--県は森林率が77%で全国7位。
まさに森に覆われた地です。
知事は和歌山の森や木、緑をどうとらえていますか
仁坂 昆虫学者の後藤伸先生(南方熊楠邸保存顕彰会常任理事、昭和4~平成15年)の受け売りですが、和歌山の森は「優しい混沌」なんです。
全体がちょっと湿度があって、潤いがあって、あまり急峻(きゅうしゅん)なところもなく、ものすごい高山があるわけではなく、山と緑に覆われている。
人間が入っ
ていこうと思ったら入っていける。
こういう山なんですね
従ってある意味では、親しみがあるとともに、厳(おごそ)かでもあるし、自然が残っていると思ったら、利用もされている。
いろいろ混ざっている場所なんです。
混ざっているということは、いろんな楽しみ方ができるということ。
植林で生計を立てることもできるし、自然が残っている場所では昆虫採集もできる。
ヒーリン
グだってできます。
そういう「多様性」を維持していけたらと思いますね
■観光で価値を発信
--「優しい混沌」。
いい言葉ですね。
そういう和歌山の森の価値を、植樹祭以外に、どうやってアピールしていきますか
仁坂 やはり観光でしょうね。
和歌山には世界遺産としての熊野・高野がありますが、森の中に鎮座している。
自然がたくさん残っている場所に神様がいらっしゃり、その神様に巡り合って蘇(よみがえ)ろうとみんなが訪れる。
温泉や宿坊もあり癒やしを求めるには最高の地域なんです。
熊野古道以外でも、釣
りや渓流歩き、山歩きなどいろんな楽しみ方が可能です。
さらに「ほんまもん体験」観光もあります。
川で遊んだり、果物を摘んだり…。
和歌山の自然のなかで、私たちが暮らしているのと同じような体験を観光客にもしてもらう取り組みです。
いずれにしてもそういった際のフィールドとして、和歌山の森や緑は観光
面でもこれから大いに有効だと思いますね
--提唱されている「観光立県」は、和歌山の森の魅力をわかってもらううえでも効果的だということですね。
ただ、実際には課題も多いのでは
仁坂 1つは切実感からするとインフラなんです。
やっぱりあまりにも不便だと損するんですよ。
次はプロモーション。
そして3つめが保全。
私は和歌山が全国的に「流(は)行(や)る」要素は、観光資源や自然の中での体験だと確信していたので、一期目の一番初めから景観条例や自然公園を見直して「絶
対に守るぞ」というエリアは1種(自然公園の特別保護地区第1種特別地域)にして守るとか、手は打ってあるんです
■もうかる林業目指す
--森林を守る話になりました。
関連する質問ですが、県内の林業従事者は1000人程度と森の担い手は減少しています。
今後の林業施策はどうあるべきでしょう
仁坂 林業の担い手がなぜなくなるかというともうからないから。
正業としての林業をどうもうかるようにするか。
例えば林業振興案みたいなものをつくり、特に間伐材について採算があうような取り組みを進めています。
需要を増やすため集成材のルートを開拓したり、バイオへの利用も何とかしようと。
一方で低
コストで供給を目指す。
その採算が合えば、間伐事業が増えてくるわけです。
補助金を付けてもまだあかんのですが、採算が合うようになったら、和歌山は正に天然資源の宝庫ですよ。
昔みたいに、すごく豊かな林業県になるんじゃないかと思うんですね
--森を守るという視点では、県民とともに企業や労働組合が森林づくりに参加する「企業の森」という取り組みもありますね
仁坂 これは和歌山県は日本一ですね。
ちょっと最近は(参加数が)伸びないのがプレッシャーですが、県庁あげて取り組んでいます。
(数は)今56。
目標は100(笑)。
2017年度までですね
--県民協働で森林づくりに取り組んでいるとはいえ、やはり植樹祭の開催は大変ですね
仁坂 「植樹祭終わりて県滅ぶ」ではね。
費用がかかり引き受ける県がなくなってきた。
そんな状況で、開催してほしいといわれ、費用は(従来の)3分の1から4分の1しかかけないけれどかまわないかと(笑)。
今までは開発型で平原を切り開いたりしていたんですよ。
「それは自然破壊だ」と僕は反対して。
そう
いう意味で、和歌山から植樹祭の歴史が変わるんだと思ってます
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