v11.0
- ID:
- ③吹付け完了です。
降雨等による斜面侵食を防ぐとともに、水路工への土砂の流れ込みを防止しています
49364
- 年:
- 2011
- 月日:
- 0105
- 見出し:
- 県産木材 香るわが家
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20110105-OYT8T00015.htm
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- 【写真】
- 記事
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衣食住が満たされてこそ、暮らしは充実する。
「住」にあたる家は大事な存在だ。
そこで注目すべきは県土の8割近くを占める森林。
全国ブランドの「吉野杉」をはじめ、県産材をもっと活用しようという動きがある。
「一歩足を踏み入れると、木の香りがするでしょ。
日の当たった床は気持ち良く、子どもたちが寝転がるんですよ」。
奈良市六条の県職員大川建さん(49)は笑顔で自宅を見せてくれた。
木造2階建て約105平方メートル。
さほど大きくはないが、ヒノキの床、スギの柱にマツの梁と、優しい木の香りで満ちている。
すべて県産材だ
大川さんは、十津川村や地元森林組合、工務店などでつくる「十津川郷土(さと)の家ネットワーク」による木材の「産直」を利用して自宅を建てた。
柱や梁(はり)を選ぶため、家族で村まで足を運ぶところから始めた。
家族の要望を伝えながら工務店と作り上げた「我が家」だ
施工した工務店「スペースマイン」の矢島美和子社長は「大工たちも日々工夫しながらやっている姿が楽しそうでこちらもうれしい」と話す
住宅の施工主の家族は、村の特別村民として登録され、村の温浴施設に村民価格で入れる特典がある。
ネットワークを利用した家は現在、県内外で約40棟。
供給不足で100%十津川産材とはいかないが、「十津川ブランド」は徐々に広まりつつある。
◇
どこに住むかも暮らしの質に直結する。
人口減少社会を迎えた日本では、自治体が定住促進の課題に向き合っている。
「おっ、もうニンニクの芽が出てる」。
昨年末、曽爾村の小長尾地区。
霧雨の中で黙々と畝間の排水作業をしていた浜田嘉英さん(66)が思わず声を上げた。
1か月前に植えたニンニクが、ポツポツと発芽していた。
どこからかカケスの鳴き声。
「野鳥の声を聞きながらの土いじりで無心になれる。
ここへ来て心の置き所が出来た」と穏やかな表情で汗をぬぐった。
同村が農山村の暮らしを楽しんでもらおうと、2003年に開設した農園付き貸別荘村「クラインガルテン曽爾」は、標高約500メートルの高台に三角屋根が特徴だ。
都会と田舎に生活拠点を持つ「2地域居住」の受け皿で、浜田さんも普段は大阪市に住む
毎年3~10戸の補充募集の抽選は、最高17倍にも上る人気だ。
大阪府内からの入居者も当初の6世帯から、全戸の半数の15世帯に増加。
自宅と村を行き来し、花見や田植えなどを通じて地元との交流を深める新住民が、村のPRにも一役買っている。
別荘村の建設に取り組んだ細谷忠広・総務課主任は「村の生活を知ってもらうだけでも将来にプラスと思っていたが、今や村の魅力を都会に発信してくれる頼もしい戦力」と喜ぶ
同村の取り組みのように、新たな〈住〉のあり方を考える時期かも知れない
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