【85】みつまた
みつまたの花はお礼をまだ知らず
(北島醇酔)
枝ごとに三つまた成せる三椏の つぼみをみれば蜂の巣の如
(長塚節)
三椏の花の白さの幾朝か
(中村汀女)
落葉低木。
高さ2m前後。中国中南部原産。
本州関東以西、四 国、九州に植栽。
中国から日本への渡来は室町時代とされ、大量に作られるようになったのは天明年間(1770年)以後に静岡県東部で駿河半紙が出来て、静岡県がミツマタ紙の始まりの土地とされている。
今もこの地方が製紙工場が多い。
7月頃に新しい枝の先端が急に三本に分れて伸びる ので三股の名がつけられたのだが、3、4月頃に葉に先だって咲きだし黄金色の花の外面を白色の長い絹毛がおおい、庭園樹として常用される。
また、樹皮は和洋紙の材料として使われる。
繁殖は実生、さし木ともによい。
「ミツマタ」の繊維は強靱性に於てやや劣るが、繊 維で、耐伸、耐折強度、弾力性に富み、さらに光沢にも富む。
その紙は堅く精巧な印刷と特殊な漉き入れ法にも適するので紙幣用紙、局紙、証券紙、鳥の子紙などの高級紙となり偽造防止の役に立ってきた。