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新・木偏百樹

みつまた

三椏(ミツマタ)、三叉、カミノキ、サキクサ、むすびき・漢名は黄瑞香(きずいこう]
関東以西の温暖地が適しており、中国・四国地方の山間部に多く栽培されているが、野生化をしているところも多い。富田林の自宅近くの錦織公園では、毎 年春に、白、黄、橙の3色の花が同時に咲くので楽しみである。
原産地はネパール、ブータンで中国を経由して日本に入ってきた。渡来の時期と万葉集の「さきくさ」が本当にミツマタかどうかは、いまだにミステリーである 。「さきくさ」がみつまたであれば、渡来はかなり古い、しかし美しい花であるのに、万葉集に詠われてのが極端に少ない。それで以前は室町以降に日本に伝 わったという説が多かった。万葉集に「さきくさ」として山上憶良、柿本人麿歌集の二種の歌があるが、現在はこれをミツマタとする説が有力になり、万葉の時 代にすでに渡来していたという結論になってきた。 和名はその年に伸びた枝が3本ずつに分かれていることによる。この3つに分かれた枝を両親と子に見立て、花言葉の「肉親の絆」がある
-----。幹はまっすぐ立ち、高さ1~2m。樹冠は半円形状。若い枝には毛がある。枝は太く、強靭で手では折れない。
この木は何といっても紙や紙幣の話が多い。「洋紙百年、和紙千年」と言われるように、和紙は耐久性にも並はずれて優れている。日本の和紙は楮(コウゾ]が一番早く、ついで雁皮(ガンピ]が奈良時代に登場、みつまたは江戸時代と比較的新しい。ガンピは栽培困難だが、ミツマタは栽培しやすいことから普及した。近代に なってからは機械漉ができること、繊維が短く弱いが、紙にすると艶がありしなやかで、美しく、精巧な印刷にも耐え、すかしが入れ易い、弾力性に富み、耐 伸、耐折強度が強い利点をもち、紙幣として大量に利用された。
「昔は、折りたたみを繰り返しても強度があったが、最近は紙幣がやたら破れやすくなったが、これはおそらく紙幣に含まれるミツマタの量が減ったためだろ う。紙幣の他にも証券用紙、金糸銀糸用紙、金箔の間にはさむ箔合紙、かな用書道用紙、美術工芸紙などに使われている。
高級和紙に利用される雁皮が和紙の王様なら、みつまたは女王といった所でしょうか。
変わった使い方では「天使のブラ」で知られるトリンプ・インターナショナル・ジャパンが、2000年7月に2000円札発売に合わせ『消費刺激ブラ』を発表した が、これがみつまた100%でできているという。今後発売されるかどうかは業界人として興味はあるのだが、残念ながら試作発表だけのようである。
学名
Edgeworthia papyrifera
ジンチョウゲ科
ミツマタ属
英名
Paper-Bush

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