ミツマタ
解説
ジンチョウゲ科の落葉低木。三椏・三叉、サキクサ、カミノキとも呼ばれる。中国では「黄瑞香(きずいこう)、結香(ジエシアン)」と呼ばれる。
原産地はネパール、ブータンで中国を経由して慶長年間(万葉の時代にすでに渡来していたとの説も有力)に日本に渡来した落葉低木。
関東以西の温暖地に分布し、中国・四国地方の山間部に多く栽培されているが、野生化をしているところも多い。
高さ1~2m。枝は3分枝に出る。粘り強く手では折れない。若枝に伏毛がある。花は早春、新葉に先立って枝先に下向きに束状に集まって開く。花びらはない、花びらのようにみえるのはガクである。ガクは四弁だが、よく見ると正方形ではなくひし形。花(萼)に芳香があります。葉は薄く、長さ5~15cm、長楕円形、鮮やかな緑色で裏面は粉白色。
別名カミノキはミツマタが元々紙の材料として栽培されていたため。和名の三叉(みつまた)は枝が3叉状に出ることによる。ガンピ、コウゾとともに和紙の三大原料とされる。
この木は何といっても紙や紙幣の話が多い。樹皮が優良な和紙の原料で、とくに紙幣や地図に重宝されてきた。
「洋紙百年、和紙千年」と言われるように、和紙は耐久性にも並はずれて優れている。日本の和紙は楮(コウゾ]が一番早く、ついで雁皮(ガンピ]が奈良時代に登場、みつまたは江戸時代と比較的新しい。ガンピは栽培困難だが、ミツマタは栽培しやすいことから普及した。近代になってからは機械漉ができること、繊維が短く弱いが、紙にすると艶がありしなやかで、美しく、精巧な印刷にも耐え、すかしが入れ易い、弾力性に富み、耐伸、耐折強度が強い利点をもち、紙幣として大量に利用された。
古来、日本の紙はミツマタ、ガンピ、コウゾの三つの樹木の皮から作られてきました。このうちミツマタは機械漉ができること、精巧な印刷にむいてすかしが入れ易いなどの利点をもち、証紙や紙幣にされます。造幣局では公式には比率は公開していないが一万円札は約10%がミツマタの利用という。
庭木としてはあまり一般的なものではないが、春の訪れとともに咲く花が印象的である。ハチの巣のような特徴のある花で楽しませてくれる。整った庭よりも、少し野趣を感じさせる庭に似合うでしょう。
病害では、黒点病、白紋羽病、白絹病があり、虫害では、アオクサカメムシによる被害がある。
花
大阪府 万博記念公園 日本庭園 204年3月31日
▲▲▲ 富田林市 錦織公園 2003年3月31日
▲▲ 富田林市 錦織公園 2014年3月16日
葉
宇治市植物公園 2012年9月4日
樹形
富田林市 錦織公園 2003年3月31日
富田林市 錦織公園 2024年1月11日
書富田林市 錦織公園 2024年1月11日
奈良 万葉植物公園 2012年9月23日