【16】かつら
朝の日に沢に桂の黄葉濃し
(羽田岳水)
みづうみより流れ出ずる川の陰岸に かつらの若葉 黄につやめきぬ
(川田 順)
落葉高木、雌雄異株。
時には高さ35m、直径2mにもなる。
北海道から鹿児島県北部までの温帯樹。
桂の木の下を掘れば水が湧き出るといわれるほど水分を好む。
渓流沿いに生え、枝を水平に張った樹形である。
4、5月頃葉に先立って腋生開花する。
春の新芽は赤く、秋には黄葉となる。
材は碁盤、彫刻材料、製図板、張板、指物、洋家具、漆器木地、琵琶の胴、帽子の型、寄木、建築材料では床の間の地板などに使用される。
「カツラ」の語源は香出といわれ、夏から秋にかけ葉を採取して乾燥し、粉にして香を作る。
所により「コウノキ」(宮城県、山形県、福島県、新潟県)「マツコノキ」(青森県、秋田県)、「オコーノキ」(岩手県)、「オコノキ」(長野県)と呼ばれている。
また、落葉が醤油に似た香りを発するので、「ショーユギ」(岡山県)等とも呼ばれる。
桂花とは桂の花のことでなくモクセイの花のことである。