カツラ
解説
カツラ科カツラ属。落葉高木。
北海道から九州まで分布していますが、北に行くほど多く、
北海道や本州中部の山地にたくさんある。高さ30
-35m、直径2mにもなる。中には天然
記念物に指定された木もある。樹皮は暗灰褐色。若木では平滑で、横長の皮目が目立
つ。老木では。縦に裂け、薄片状に剥離する。雌雄異株。4、5月頃 葉に先立って
腋生開花する。果実は、9月頃熟し、1.5㎝位の少し曲がった筒状の
実になる。葉は2回に分けて展開する。最初に、長枝に2枚(対生)の葉を、短
枝に1枚の葉が開葉する。その葉形はハート型に似た円形が特徴的で、春葉という。
その後に開葉する葉はハートの凹みがないおむすびのような形をしており、夏葉とい
う。葉を順次展開していくため、開葉期間は長い。秋には黄色く紅葉する。落葉の香
りは醤油のにおいに似ている。別名のコウノキは落葉には芳香からついたものであ
る。英語名は、和名をそのままにしたものである。枝は長枝と短枝を持っており、短
枝は短い枝に葉を着生させるため樹冠の中にも葉を多く持つことができる。一方、長
枝は長い枝に葉を着生させるため、樹冠を拡張させるのに有利である。したがって、
長枝と短枝をうまく配置させることによって、効率的に光合成ができる。落葉広葉樹
には多い。針葉樹ではカラマツが有名である。
また、カツラはほぼ日本固有の樹種であり、その新緑の葉の美しさから
公園や並木でもよく見られる。 水分の多い肥沃な土地を好むので、渓流沿い等
によく生える。本州北中部の亜高山帯に一つだけ、ヒロハカツラがあるが、大変
珍しく、分布も限られている。花は、5-6月頃に葉より一足早く開きます。
心材は褐色。やや軽軟で狂いが少なく加工しやすい。用途は公園・街路樹、建築、彫刻材料、製図板、張板、指物、洋家具、漆器木地、琵
琶の胴、帽子の型、寄木、木象嵌、薪炭などと用途が
広い。
木口(樹の横断面)から見ると、辺材は樹白色、心材
(樹の中心部分)は褐色と大変区別しやすい材である。板目(樹の横断面)から
見ると、やさしい肌目の木だということがわかり、木理は通直で節も少ない木である。
材質は、広葉樹にしては比較的軟らかい方で加工もしやすい狂いも少ない方である。
昔はよく裁縫用の台の板として使われていた。家具においては、狂いが少なく加工
しやすい点から、家具の内部の棚板等によく使われる。彫刻がしやすくきれいに
しあがるので看板用の板としても使っている。
中国で言う「桂」はモクセイ(木犀)のことであって、日本と韓国では古くか
らカツラと混同されている。「桂花酒」はキンモクセイの花を乾燥したものである。
桂皮(シナモン)は、同じ桂の字を使うがクスノキ科の異種の樹皮である。
京都に加茂神社という
神社があり、ここは、春の葵祭りで全国的に有名ですが、この葵祭りでは、葵草を祭りのおみこしや衣装に飾るのでそう呼ばれているが、桂の枝葉も同じように
この祭りに用いられる。桂のことを別名カモカツラと呼ぶゆえんでもある。
加茂神社では葵草を神草としているが、同じ京都の日吉大社と松尾大社では
桂を神木として扱い、葵と桂を飾る祭りをする。葵は加茂神社の女の神様を表わし、
桂は日吉と松尾の男の神様を象徴しており、この2人の神が結ばれたという神話
に基づいて、これらの祭りに葵と桂を飾るとの事である。
全国に巨木が多く、天然記念物にも数多く指定されており、必ずといってよいほど、
カツラの近くに川や水脈がある。
木材の木目
葉
通勤途中 2023年6月13日
2013年6月3日 通勤途中にて
2013年9月20日 通勤途中にて
▲▲ 富田林市 通勤途中 2023年6月11日
実
大阪市 長居植物園 2015年2月1日
桂の巨樹
長野県上田市別所温泉
愛染カツラ 2013年6月3日
島根県雲南市大東町 中湯石1453 日原神社 海潮のカツラ 2007年6月7日
兵庫県多紀郡篠山町安田440-1
和池の大カツラ 2005年11月3日
出灰素盞嗚咽神社のカツラ 高槻市出灰堂の前 2021年1月17日
その他資料
木偏百樹 かつら