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木偏百樹

【6】あんず

初恋は杏子の花の匂いする
(小寺燕小花)あまさ柔かさ杏の日のぬくみ
(室生犀星)
落葉小高木。
中国山西省、山東省の山岳地帯、および中国東北地方の南部が原産。
昔から、杏を“からもも”と呼んでおり、平安時代の文献に記載されているから、当初薬用として入り、逐次鎌倉、徳川時代を経て栽培されていたのであろう。
長野県善光寺平や山梨市郊外の杏の花は有名で、蕾は淡紅白色、花は白色、春四月に開く、果実は主に加工されシロップ漬け、干し杏、ジャム、果実酒、砂糖漬けなどに使われる。
杏林とは昔、国手という中国の名医がおり、病人を治療した謝礼に重症者に5本、軽症者に1本の杏を植えさせたが、数年で林をなしたという故事に基づいて、医家の美称をいうようになった。
私の母方の里が医家で、杏花堂と呼び、家紋も杏である。医は算術でなく仁術と心得ていたようだ。杏の仁は杏仁と呼ばれ、漢方では、鎮咳去痰薬。
花言葉は、処女のはにかみ。
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