アンズ
解説
杏「杏・杏子」
別名:カラモモ
バラ科:RosaceaeArmeniacae-Semen
生薬名:杏仁(キョウニン) 薬用部分:種子
原産地:中国北部 現在の産地は長野、山梨、中国
開花時期:3月~4月 実7月
アンズは、果樹として栽培する落葉小高木。
甲信、北陸、東北など広く各地に栽植されている果樹
で、長野には有名な安茂里、アンズの里があります。
万葉集に加良毛毛(カラモモ)としての記述
があり、かなり古い時代に薬用樹として中国から渡来しました。
鎌倉時代からは「杏」の字があて
られ、アンズと呼ぶようになりました。
高さ5m位で樹皮は赤みがあり,若枝は褐紫色、葉脈の基部に毛があるほかは無毛。
花は3~4月に
可憐な淡紅色の花を咲かせます。
葉に先立って前年枝に咲き、花弁は5個で平開します。
果実は7月
頃に熟し、古くから食用や薬用に用いられています。
実の形状は細かい毛がつき表面に溝があり、シロップ漬けやジャム干しアンズに用いられるほか、
生食用にもされます。種子は杏仁(きょうにん)と呼ばれ、漢方で生薬として、鎮咳、去たん薬と
して用いられます。種子を圧搾しキョウニン油を採り、圧搾カスに水を加え水蒸気蒸留したものを
キョウニン水と称し、鎮咳去痰剤として用いられます。
漢方では同様の目的で麻杏ヨク甘湯などに
処方されます。また杏仁油は化粧品の原料としても用いられます。
満開のアンズの里に行っても花の香りは感じられませんが、果実が完熟するとゲラニオール、リナ
ロール、ヘンジルアルコールなどの香気成分がでて、殻の中の仁はベンツアルデヒドという特有な
匂いを持ちます。
これは杏仁豆腐で知られた香りです。
香りのもとは青酸を含んだ物質ですが、酵
素などにより分解されて、そのときにできる少量の青酸が作用をあらわすのです。のこりの分が香
りのもとになるのですが、これは枇杷(ビワ)の種子や、梅の種子、桃の種子にも含まれているの
で、これらの種子をつきくだいても同じ香りがします。
栽培品種にはヨーロッパ系と東アジア系のものがあります。
西洋種はアプリコット、ヨーロッパ産
のセイヨウアンズは花が単生する点でだけ異なるが同一種とされます。
和名は杏子の唐音読み。
中央アジアでは乾アンズにして世界へ輪出しました。このため、原産地がアルメリアだと間違われ、
学名に使われています。
アンズの活け方:短い枝に花が咲き、ためも効かないので、枝振りのよいものを格花に使います。
改良種のピンクや白の花を、配材を考えて、色彩豊かに、投入や盛花に使うとよいでしょう。
また、
ウメのように自然な趣の古木を使って活けるのもよいでしょう。
花材としては、あまり初心者には向かず、上級者向。
薬の効果として適応するのは鎮咳、去痰。
日本の文学小説では決して多く取り上げられていないが、井伏鱒二 山椒魚 13箇所、室生犀星 杏っ子 5箇所、円地文子 女坂 4箇所、宮沢賢治 雁の童子 2箇所、芥川竜之介 或阿呆の一生 2箇所、芥川竜之介 庭 2箇所、宮沢賢治 いてふの実 2箇所などに使われている。
花
▲▲▲ 2013年3月19日 富田林市
▲▲ 自宅 2013年3月20日 富田林市
樹皮・幹
実
・アンズに関する俳句
・木偏百樹アンズ
・新木偏百樹アンズ
・アンズを取り上げた小説