バラ |
或る女 |
48 |
薔薇 |
健康らしい薔薇色を帯びた |
カキ |
或る女 |
55 |
柿 |
朝っぱらから柿をむいてあてがっていた |
カキ |
或る女 |
55 |
柿の皮 |
その柿の皮があかあかと |
キリ |
或る女 |
58 |
桐 |
延びた垣添いの桐の木とが |
モモ |
或る女 |
66 |
桃 |
葉子の口びるは暖かい桃の皮のような定子の頬の膚ざわりにあこがれた。 |
クヌギ |
或る女 |
103 |
櫟 |
一角らしい櫟の林も現れた |
チーク |
或る女 |
117 |
チーク |
堅いティークの床をかつかつと |
マツ |
或る女 |
145 |
松 |
オレゴン松がすくすくと |
マツ |
或る女 |
145 |
松 |
あの松の木が切り倒されて |
マツ |
或る女 |
159 |
松 |
松が自然に美しく配置されて |
アメリカマツ |
或る女 |
187 |
あめりかまつ |
小動ぎもせずに亜米利加松の生い茂った |
ヤシ |
或る女 |
211 |
椰子 |
輪切りにした椰子の実で汚れた甲板を単調にごしごとこする音が、時というものをゆるゆるすり減らすやすりのように日がな日ねもす聞こえていた。 |
アメリカマツ |
或る女 |
224 |
あめりかまつ |
揃った亜米利加松の翠ばかりが |
サクラ |
或る女 |
242 |
桜 |
半分がた散り尽くした桜の葉は真紅に紅葉して、軒並みに掲げられた日章旗が、風のない空気の中にあざやかにならんでいた。 |
サクラ |
或る女 |
242 |
桜 |
両側に桜並木のずっとならんだ |
サクラ |
或る女 |
252 |
桜 |
一本の桜の木を楯に倉地をやり過ごしておいて、 |
スギ |
或る女 |
257 |
杉 |
かすかにたきこめられた沈香のにおいも、目のつんだ杉柾の天井板も、細りと磨のかかった皮付きの柱も、 |
コウヤマキ |
或る女 |
262 |
高野槙 |
切り取られた高野槙が二本 |
モモ |
或る女 |
266 |
桃 |
葉子は自分の頬を、暖かい桃の膚のように生毛の生えた定子の頬にすりつけながら、それを聞いた。 |
バラ |
或る女 |
292 |
薔薇 |
薔薇専門の植木屋の裏にあたる |
スギ |
或る女 |
292 |
杉 |
杉林の為めに少し日当たりはよくないが、 |
スギ |
或る女 |
296 |
杉 |
漆よりも色濃くむらむらと立ち騒いでいるのは古い杉の木立ちだった。 |
スギ |
或る女 |
296 |
杉 |
風はまた一しきりうなりを立てて杉叢をこそいで通りぬけた。 |
スギ |
或る女 |
302 |
杉 |
山内一面の杉森からは深山のような鬼気(きき)がしんしんと吐き出されるように思えた。 |
スギ |
或る女 |
304 |
杉 |
真直な杉の幹を棒縞のような |
シラカンバ |
或る女 |
304 |
樺 |
色さまざまな桜の落ち葉が、日向では黄に紅に、日影では樺に紫に庭をいろどっていた。 |
マツ |
或る女 |
304 |
松 |
その先きは杉、松、その他の喬木の茂みを隔てて苔香園の手広い庭が見やられていた。 |
スギ |
或る女 |
304 |
杉 |
杉の葉越しに射しこむ朝の日の光が、雨にしっとりと潤った庭の黒土の上に、 |
スギ |
或る女 |
304 |
杉の幹 |
まっすぐな杉の幹を棒縞ぼうじまのような影にして落としていた。 |
スギ |
或る女 |
304 |
杉 |
その先きは杉、松、その他の喬木の茂みを隔てて苔香園の手広い庭が見やられていた。 |
バラ |
或る女 |
309 |
薔薇 |
苔香園から薔薇の香りが |
スギ |
或る女 |
309 |
杉 |
こんな淋しい杉森の中の家にも、時々紅葉館のほうから音曲の音がくぐもるように聞こえて来たり、 |
シイ |
或る女 |
309 |
椎の木 |
庭の隅にあった椎の木が移してあったりした。 |
スギ |
或る女 |
316 |
杉 |
杉森がごうごうと鳴りを立てて、枯れ葉が明るい障子に飛鳥のような影を見せながら、 |
バラ |
或る女 |
317 |
薔薇 |
十二月の薔薇の花園は |
ツバキ |
或る女 |
329 |
椿 |
そうしたい誘惑を退けかねるように、紅椿のような紅いその唇に触れてみた |
スギ |
或る女 |
346 |
杉 |
空は薄曇りに曇って西風がゴウゴウと杉森にあたって物すごい音を立て始めた。 |
スギ |
或る女 |
352 |
杉 |
この杉の森が私大好きですの。きょうは雪が積もってなおさらきれいですわ」 |
スギ |
或る女 |
369 |
杉 |
戸板の杉の赤みが鰹節の心のように半透明にまっ赤かに光っているので、 |
ウメ |
或る女 |
373 |
梅 |
それは梅の蕾がもう少しずつつふくらみかかった午後の事だったが |
サクラ |
或る女 |
381 |
桜 |
青銅の花のそばに咲きかけの桜を置いて見るようだった。 |
サクラ |
或る女 |
384 |
桜 |
桜炭の火花が激しく飛んで二人の間にはじけた。 |
スギ |
或る女 |
389 |
杉森 |
夕闇の催した杉森の下道のほうへと消えて行った。 |
イチジク |
或る女 |
394 |
無花果 |
春雨の「無花果」だの |
サクラ |
或る女 |
402 |
一重桜 |
庭先きの一重桜の梢には南に向いたほうに白い花べんがどこからか飛んで来てくっついたようにちらほら見え出していた、 |
スギ |
或る女 |
402 |
杉 |
その先には赤く霜枯れた杉森がゆるやかに暮れ初(そ)めて、光を含んだ青空が静かに流れるように漂っていた。苔 |
サクラ |
或る女 |
403 |
桜 |
桜が咲いたぜ |
ツバキ |
或る女 |
414 |
落椿 |
道の上には落椿が一重桜の花とまじって無残に落ち散っていた。 |
ツバキ |
或る女 |
414 |
落椿 |
重い砂土の白ばんだ道の上には落椿が一重桜の花とまじって無残に落ち散っていた。 |
サクラ |
或る女 |
414 |
桜 |
桜の梢には紅味を持った若葉がきらきらと日に輝いて、浅い影を地に落とした。 |
マツ |
或る女 |
415 |
松 |
立ち連った小松は緑をふきかけて |
サクラ |
或る女 |
415 |
八重桜 |
八重桜はのぼせたように花でうなだれていた。 |
バラ |
或る女 |
437 |
薔薇 |
隣の薔薇も咲き出すでしょう |
スギ |
或る女 |
445 |
杉 |
葉子は杉森で囲まれたさびしい暗闇の中にただ一人取り残されていた。 |
スギ |
或る女 |
452 |
杉 |
夥しく杉森の中から小さな羽虫が集まってうるさく飛び回り、 |
バラ |
或る女 |
460 |
薔薇 |
種々な色の薔薇の花が |
カキ |
或る女 |
466 |
熟柿 |
灯の下に熟柿のように |
スギ |
或る女 |
487 |
杉森 |
杉森の中のさびしい家にその足跡の印されなかったわけがあるものか。 |
ケヤキ |
或る女 |
488 |
欅 |
広場には欅や桜の木が疎らに立っていて |
サクラ |
或る女 |
488 |
桜 |
広場には欅や桜の木が疎らに立っていて、大規模な増築のための材料が、 |
シイ |
或る女 |
503 |
椎 |
椎の樹の古葉もすっかり散り尽して、松も新しい緑にかわって、 |
マツ |
或る女 |
503 |
松 |
松も新しい緑に代って |
カエデ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
13 |
楓 |
窓の外の楓があんなになったのを見ると心細いというのだ。なるほど入院したてには燃えるように枝を飾っていたその葉が一枚も残らず散りつくして、 |
バラ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
21 |
薔薇 |
薔薇の花が写真の前に置かれている |
リンゴ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
27 |
林檎園 |
大きな林檎園の中に |
シラカンバ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
29 |
白樺 |
草の中からたった二本ひょろひょろと生い伸びた白樺の白い樹皮を力弱く照らしていた |
リンゴ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
31 |
林檎 |
林檎の枝は熟した果実でたわわになっていた |
リンゴ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
31 |
林檎畑 |
私は独りで手広い林檎畑の中を歩きまわった |
カラマツ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
41 |
落葉松 |
又落葉松の幹の表皮からあすこここにのぞき出している針葉の一本をも見のがさずに、愛撫し理解しようとする、 |
ツバキ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
48 |
椿 |
梅が咲き椿が咲くようになった |
ウメ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
48 |
梅 |
梅が咲き椿が咲くようになった |
ニレ |
小さき者へ生まれ出づる悩み |
88 |
楡 |
黒ずんで見える楡の切株の |