315 |
ツギ手 |
ツギ手や仕口に |
宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、 |
315 |
仕口 |
ツギ手や仕口に |
宮を造ればツギ手や仕口にオレも気附かぬ工夫を編みだしたこともあるし、 |
315 |
仏像 |
仏像を刻めば |
仏像を刻めば、これが小僧の作かと訝かしく思われるほど深いイノチを現します。 |
316 |
仏像 |
刻んだ仏像 |
はばかりながら、オレの刻んだ仏像が不足だという寺は天下に一ツもない筈だ」 |
316 |
仏像 |
仏像に宿る |
オレのイノチがオレの造る寺や仏像に宿るだけだ」 |
320 |
雑木林 |
山の雑木林に |
オレは川の流れに沿うて山の雑木林にわけ入り、 |
322 |
持仏 |
持仏 |
ヒメの持仏をつくるためだと聞いていたが、 |
322 |
持仏 |
持仏堂におさめて |
持仏堂におさめて、ヒメが朝夕拝むものだが、 |
323 |
森 |
森の中 |
ひろいひろい森があって森の中を大きな川が流れている。 |
323 |
森 |
その森 |
その森を三日がかりで泣きながら通りぬけると、 |
323 |
森 |
ひろい森 |
ひろいひろい森があって森の中を大きな川が流れている。 |
323 |
木 |
大きな木の下の |
その里の一番大きな木の下の一番キレイな泉のそばでハタを織っていたのが一番美しい娘で、 |
323 |
木蔭 |
木蔭 |
その里には一ツの木蔭の一ツの泉ごとに一人の娘がハタを織っているそうな。 |
324 |
仏像 |
仏像を造った |
ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレをビックリさせた。 |
324 |
仏像 |
仏像を造った |
だから、ヒメの気に入った仏像を造った者にエナコをホービにやるという長者の言葉はオレに大きな驚愕を与えた。 |
324 |
仏像 |
仏像ではなくて |
オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 |
324 |
仏像 |
仏像を造る |
オレはヒメの気に入るような仏像を造る気持がなかったのだ |
324 |
仏像 |
仏像を造る |
オレはヒメの気に入らない仏像を造るために、いや、仏像ではなくて怖ろしい馬の顔の化け物を造るために精魂を傾けてやると覚悟をかためていたのだから。 |
325 |
森 |
大きな森 |
大きな森をこえて、泉の湧く里から来たハタを織る女だと? |
326 |
大工 |
大工はする |
オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえな。 |
327 |
木 |
山の木 |
オレも山の木を伐りだしてきて、 |
328 |
材木 |
材木の切れッ端 |
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。 |
328 |
切れッ端 |
材木の切れッ端 |
まず自分から材木の切れッ端に腰をおろした。 |
328 |
庭木 |
庭木 |
「庭木でも伐ろと仰有るのかね。 |
328 |
木 |
木を叩ッ切る |
木を叩ッ切るだけなら、他に適役があらア。 |
328 |
木地屋 |
木地屋 |
木地屋とタクミは違うものだ。 |
329 |
松ヤニ |
松ヤニ |
血どめに毒ダミの葉のきざんだ奴を松ヤニにまぜて塗りたくッておいたら、事もなく痛みもとれたし、 |
333 |
欄間 |
欄間のホリモノ |
欄間のホリモノをきざまなければならなかった。 |
333 |
欄間 |
片足でほった欄間 |
片手片足でほった欄間だが、両手両足が使えるようになってから眺め直して、 |
335 |
森 |
東国の森 |
東国の森に棲む虫ケラに耳をかまれただけだと思えば腹も立たない道理じゃないか。 |
337 |
縁 |
縁に立って |
スダレはまかれて、ヒメは縁に立っていた。 |
338 |
鞘 |
サヤ |
もやそのサヤは払うまいとまたオレは考えた。 |
338 |
鞘 |
刀のサヤ |
オレはエナコが刀のサヤを払うまいと思ったから、 |
338 |
鞘 |
懐剣のサヤ |
エナコはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の尖をつまんだ。 |
340 |
松ヤニ |
松ヤニ |
また、ゴマをたくことから思いついて、オレは松ヤニをいぶした。 |
340 |
像 |
モノノケの像 |
怖ろしいモノノケの像をつくらなければとあせった。 |
340 |
像 |
モノノケの像 |
こるのを造りかけのモノノケの像にしたたらせた。 |
340 |
像 |
血を像に |
クビを斬り落して、その血を像にしたたらせた。 |
340 |
像 |
像を造り終えた |
オレは冬になって、ようやく像を造り終えた。 |
340 |
像 |
現れる像 |
扉をひらくと現れる像の凄味をひきたてるには、あくまで可憐な様式にかぎる。 |
344 |
戸口 |
戸口 |
オレははじかれたように戸口へ走り、カンヌキを外して戸をあけた。 |
344 |
閂 |
カンヌキを外して |
オレははじかれたように戸口へ走り、カンヌキを外して戸をあけた。 |
350 |
高楼 |
高楼 |
長者の邸には高楼があった。 |
350 |
高楼 |
高楼にのぼって |
ヒメは時々高楼にのぼって村を眺めたが、 |
350 |
森 |
森へすてに行く |
小屋に姿を現すのは、死者を森へすてに行く人群れを見かけたときにきまっていた |
350 |
森 |
森の中に |
村はずれの森の中に死者をすてに行くために運ぶ者の姿を見ると、 |
359 |
高楼 |
高楼から |
オレははじめて高楼から村を眺めた。 |
361 |
高楼 |
高楼に逆吊りにし |
ヒメは蛇の生き血をのみ、蛇体を高楼に逆吊りにして、 |
361 |
高楼 |
高楼にのぼ |
高楼にのぼり、ためらう色もなくニッコリと蛇の生き血を飲みほすヒメはあまり無邪気で、怖ろしかった。 |
362 |
高楼 |
高楼の天井 |
ヒメの笑顔はしばし高楼の天井を見上げて動かなかった。 |
362 |
高楼 |
高楼に吊るして |
蛇の死体を高楼に吊るしているのは、村の人々がみんな死ぬことを祈っているのだ。 |
363 |
高楼 |
高楼に待って |
大きな袋を負うて戻ると、ヒメは高楼に待っていた。 |
363 |
高楼 |
高楼の天井いっぱいに |
今に高楼の天井いっぱいに蛇の死体がぶらさがるに相違ないが、 |
365 |
高楼 |
高楼だから |
オレが天井を見上げると、風の吹き渡る高楼だから、 |
365 |
高楼 |
高楼の天井いっぱいに |
オレが高楼の天井いっぱいに蛇の死体を吊し終えた時 |