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小説と木
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坂口安吾の小説「閑山」に出てくる樹木や木製品

この小説の初出は 1955年、文庫本におけるページ数は13ページ
ページ 元樹種 掲載樹種 掲載言葉
49 ツガ 栂の小枝 雨戸を開けると、昨夜の狸が手に栂の小枝をたずさえ、それを室内へ投げ入れて、逃げ去った。
49 小枝 栂の小枝 雨戸を開けると、昨夜の狸が手に栂の小枝をたずさえ、それを室内へ投げ入れて、逃げ去った
49 木草 季節の木草 その後、夜毎に、季節の木草をたずさへて、
50 木材 木材 木材をさがしもとめ、和尚の熟睡をまって庫裏の一隅に胡座し
50 鑿を揮い 鑿(のみ)を揮(ふる)いはじめてのちには、
51 木の芽 木の芽 山陰へ木の芽をとらせに走らせ、
51 古木 手足は古木のよう  雲水の僧は身の丈六尺有余、筋骨隆々として、手足は古木のようであった。
52 囲炉裏 囲炉裏の上へ  と、雲水の僧は、やをらかたえの囲炉裏の上へ半身をかがめた。
52 大いなる燠 そうして、大いなる燠(おき)のひとつを鷲掴みにして、再び弁兆の眼前を立ちふさいだ。
52 真赤な燠 雲水の僧はにじり寄つて、真赤な燠を弁兆の鼻先へ突きつけた。
52 燠を捩じ込む 弁兆の口中へ燠を捩(ね)じ込むところであった。
53 木魚 木魚の前に  和尚は腹痛を押へてやをら立上り、木魚の前に端坐した
53 木魂して 高天井に木魂して 大風笛は高天井に木魂して、人々がこれを怪しみ誦経の声を呑んだ時には、
53 拈花 拈花(も放屁も 即ち透脱して大解脱を得たならば、拈花(ねんげ)も放屁も同一のものであるに相違ない。
54 木戸 木戸として 木戸として特に規定の金額がないから、金銭を支払ふ者は甚だ稀で、
54 木戸 木戸銭に代え 通例米味噌野菜酒等を木戸銭に代え、一族ひきつれて観覧にあつまる。
56 太根を張った ゆさぶる膝の手応えは太根を張った大松の木の瘤かと思われるばかり、
56 大松 大松の木の瘤 ゆさぶる膝の手応えは太根を張った大松の木の瘤かと思われるばかり、
56 木の瘤 ゆさぶる膝の手応えは太根を張った大松の木の瘤かと思われるばかり、
56 木の瘤 ゆさぶる膝の手応えは太根を張った大松の木の瘤かと思われるばかり、
57 柱に縋りつき 和尚は柱に縋(すが)りつき、呼吸は荒々しくその肩をふるわせていた。
58 紅葉 紅葉 山の粉雪も黄色にそめ 春のさかりに紅葉もさかせ
58 木像 木像に物言う さながら木像に物言う如く、さらに手応への気配がなかった。
59 濡縁 ぬれ縁 たまりかねて、濡縁へ片膝をつき、這いこむばかりの姿勢となつて、
59 羽目板 羽目板は外れて すでに棲む人の姿はなく、壁は落ち、羽目板は外れて、
60 小枝 各小枝を握り 左右の手に各小枝を握り、その両肩へ小枝を担う姿勢をとつて、
60 小枝 小枝を高々と 小坊主は節面白く歌いたてて、両手の小枝を高々と頭上に捧げ、
62 サクラ 桜樹を植 村人は憐んで塚を立て、周囲に数多の桜樹を植えた。
62 サクラ 桜に花の これを花塚と称んだそうだが、春めぐり桜に花の開く毎に、塚のまわりの山々のみは嵐をよび、終夜悲しげに風声が叫びかわして、一夜に花を散らしたということである。
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