165 |
根 |
根もない |
娘心のあさはかにも、根もないことを疑って、 |
165 |
根 |
根を張った |
一度根を張った疑惑は、どう解こうすべもなく、ともすれば、 |
167 |
縁側 |
縁側 |
縁側に出て見れば、土蔵の窓から、ぼんやりとあかりがついているのでございます。 |
168 |
縁側 |
縁側 |
今でも不思議に覚えていますのは、門野が縁側に向うむきに蹲(うずくま)って、 |
169 |
下駄 |
庭下駄 |
それに丁度闇夜で、庭下駄で土蔵への道々、空をながめますと、 |
169 |
母屋 |
母屋 |
もう母屋(おもや)では、御両親をはじめ召使達も、 |
169 |
樟脳 |
樟脳 |
そこも同じ様に真っ暗で、樟脳のほのかな薫(かおり)に混って、冷い、かび臭い蔵特有の一種の匂いが、 |
170 |
梯子 |
梯子段 |
暗いのも道理、梯子段を上った所の落し戸が |
170 |
落し戸 |
落し戸 |
落し戸の下にたたずんでいました時、ちょうどその時、 |
173 |
戸 |
戸 |
いきなり、戸を叩き破ってでも、二人のそばへ駈込んで、 |
173 |
板 |
板の間 |
板の間を歩く音がして、誰かが落し戸の方へ近づいて参るのでございます。今 |
173 |
落し戸 |
落し戸 |
板の間を歩く音がして、誰かが落し戸の方へ近づいて参るのでございます。今 |
173 |
梯子 |
梯子段 |
私は急いで梯子段を降りると、蔵の外へ出て、 |
174 |
下駄 |
庭下駄 |
私の隠れている前を通り過ぎ、庭下駄の音が遠ざかっていったのに、 |
174 |
母屋 |
母屋 |
兎も角も、その晩は、それだけで、母屋の方へ引き返すことにいたしました |
180 |
葛籠 |
葛籠 |
大きな紋のついた両掛け、葛籠(つづら)の類、古めかしい陶器類 |
180 |
鉄漿 |
鉄漿 |
異様に目を惹(ひ)きますのは、鉄漿(おはぐろ)の道具だという、 |
180 |
塗物 |
塗物 |
巨大なお椀の様な塗物もの、塗り盥(だらい)、それには皆、年数がたって赤くなってはいますけれど、 |
180 |
塗り盥( |
塗り盥( |
巨大なお椀の様な塗物もの、塗り盥(だらい)、それには皆、年数がたって赤くなってはいますけれど、 |
181 |
白木 |
白木の箱 |
幾つかの白木の箱がつみ重なっていて、 |
181 |
棺桶 |
棺桶 |
その蓋を持上げて、まるで棺桶の中でも覗く気で、 |
182 |
サクラ |
左近の桜 |
これが左近の桜、右近の橘たちばなと、見て行くに従って、 |
182 |
タチバナ |
右近の橘 |
これが左近の桜、右近の橘たちばなと、見て行くに従って、 |
182 |
白木 |
白木の箱 |
三尺以上もある様な長方形の白木の箱が、さも貴重品といった感じで、 |
185 |
樟脳 |
樟脳臭い |
薄暗く、樟脳臭い、土蔵の中で、その人形を見ました時には、 |
190 |
板の間 |
板の間 |
板の間まは血潮の海、二人のそばに家重代(いえじゅうだい)の名刀が、血を啜(すす)ってころがっているのでございます。 |