幸せの家 「承」
承
「4500万円!!!!!!!!!なっ、なっ、何ですその金額」
「何ですって言われても、!ああそうか山戸さんは奈良県から引越して来られたのですね、大阪府で家を建てた場合は他府県より コストが高いので、建てた業者は契約金額の3倍の金額を後から 施主様から頂くように大阪府の条例で決まっているんですよ」 「そんな話し、初めて聞いた!それに大体、契約金額の3倍なんてどこからそんな馬鹿げた金額が出てきたんだ」
「イヤー困ったな、今更そんなこと言われても。
見積書にもこの金額には消費税と差額調整金は含まれていませんと明記してあるでしょう」
「何をバカな。
払う理由なぞどこにもない。
裁判でも何でもしたらいい。
君、一体こんな請求書を持って来て正気なのか?」
「私はいつも正気ですよ。
山戸さん、これは今急に決まったことではありませんよ。
昔からと言っても戦後からでしょうが、ともかくずっと前から決まっていることです。
それにお支払いが なければ、即刻、大阪府からこれらの住宅について差し押えが きますから、大変なことになりますよ。
私もこの仕事は設計事 務所さんがついているから設計の先生がちゃんと説明していると思ったのですが、あの先生も大阪府内の仕事しかしたことがないから、他府県も一緒と思っていたのかもしれませんね。
」
「いや君、そんな涼しい顔して言うことじゃないだろう、一生に一回の買い物だよ。
何をとぼけて4500万円なんて話しができるんだ。
」
「いえ、もし何か私の言い方に失礼なところがあればお許しください。
でも差額の調整金は、私の会社の利益になるわけでも何でもないのですよ。
他府県の方には理解しにくいかもしれませんが、それは消費税といっしょのことなんです。
私共の会社が一旦預かるだけで、すぐに大阪府に持っていくお金なんです」
「それだったら税金と言うことか。
一体どこの世界に1500万円の家を建てたら、4500万円の税金がかかる国があるのだ。
しかも大阪府だけの特例だなんて馬鹿も休み休み言いたまえ。
こんなこと理解できるはずがないだろう。
」
「分かりました。
これについては私も専門家ではありませんが、知っている範囲で説明します。
説明をお聞き頂ければご理解頂けると思います。
」
…・とそれからハウスメーカーの営業マンが話しし出したことは 山戸さんにとっては本当に信じられない事実でした。