山戸さんは家を建てました。
1500万円。
自分でもなかなか良い設計だと思って満足しています。
60坪の土地が嫁さんの親からの相続でなかったらとても無理だったけれど、ラッキーなことがいくつか続いたのです。
まあちょっと贅沢だったかも知れませんが、子供達も小学校に上がったことですし、庭つきの家は前からの念願だったのです。
若干の貯金とそれ以外は ローンを組んで、まあ何とか返せる額でしょう。
…・と幸せな雰囲気に浸っていた入居して最初の日曜日、家を建ててくれたハウスメーカーさんがやってきました。
「ご主人、新居の住み心地はどうですか。
」
「やあ、こんにちは。
いいですねぇ、戸建ての家と言うのは。
いい施工をして頂いて本当に満足してますょ」
「そうですか、施主さんにそう言って頂けると我々施工業者としてこれほど嬉しいことはありません」
「こんなところでもなんだから、まあ上がって下さいな。
」
「ありがとうございます。
でも、今日はまだこれからいろいろ行かねばならないところがありまして、ああそうです、今日 は請求書をお持ちしましたのでお渡ししておきます」
「請求書?残金は引渡しの時にすべてお支払いしましたが…・」
「ええ、契約の金額はすべて頂きました。
今日お持ちしたのは大阪府の差額調整金です」
「何ですか?その大阪府の差額調整金と言うのは」
「えっ、ご存知なかったですか。
大阪府で家を建てた方は他府県との金額の調整金を契約とは別に後で支払って頂くことになっているのですが」
「そんなことは知りませんよ。
一体いくらなんですか」
「えっーと、ここです。
1500万円の家を建てられたので後4500万円をお支払い頂ければけっこうです」