彗星夢雑誌/古文書

幕末の政治・情報・文化の関係について

前国立歴史民俗博物館長 宮地正人氏のご協力を得、1988年11月5日 愛知大学記念会館での講演から製作しました。


 二番目は、オランダです。御存知のように『オランダ風説書』というのは、オランダがヨーロッパ諸国の中で唯一対日貿易を認められている見返りとして、幕府に提出した世界情勢の報告書なのです。これは、1641年ですから、鎖国の開始から毎年行われ、いわば日本の開国まで続くわけです。しかも、このような情報だけでは足りなくなる、幕末の世界史的な意味での開始期のアヘン戦争のときからは、『オランダ風説書』の他に『別段風説書』と呼ばれる非常に詳細なものが別にオランダから幕府に提供されます。しかも、そのときには、幕府はオランダ語の原文自体も提供させていますから、『別段風説書』の場合には、長崎で翻訳されたものと江戸で翻訳されたものとの二種類が残っているのです。
 それから、同じ論理としては、中国情報が清国との貿易の過程で入ってくる。『唐国風説書』と呼ばれるものが幕末各地の風説書、或いは風説留の中に入っているのも、そのルートだろうと思っております。
 以上が、幕府が情報を集中するその枠組みの見取り図です。

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