v11.0
- ID:
- 34590
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0110
- 見出し:
- 県産材活用に追い風
- 新聞名:
- 宮崎日日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.the-miyanichi.co.jp/kuroshio/_16694.html
- 写真:
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- 記事
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しばらく訪ねてないが、奈良・東大寺の大仏殿に入ると構造物のスケール感に圧倒される。
盧舎那(るしゃな)仏像は当然ながら、そそり立つ巨大な柱や梁(はり)が重厚な雰囲気を醸している。
県民にはよく知られているが、この広大な大仏殿の空間を可能にした2本の虹梁(こうりょう)はえびの市の白鳥神社境内から運ばれたアカマツだ。
1704年再建の際用いられた材で樹齢1500年以上。
10万人と4千頭の牛が陸、海路で9カ月をかけて運んだと伝えられる。
残念ながら天井に隠れて見えない。
それでも世界遺産の大屋根を県産材が支えていると思うと誇らしい。
大仏の鼻と同じ大きさという穴の開いた柱では、子供たちが出入りしてにぎやかだが、眺めていたら集成材であることに気づいた。
材を寄せ集めてニカワで接着。
鉄の輪で締め上げたという。
現在住宅で用いている集成材は、100年ほど前にドイツで開発。
日本で普及したのは数十年前らしい。
今も日本では木造建築が主流だが、長い歴史で生まれた高い技術、造形美は次代に継ぐべき宝だ
担い手減少や木材価格低迷で不況が続いていた本県林業に、回復の動きが出てきた。
バイオマス発電や海外における需要が伸びている。
政府が2020年東京五輪に向けて、国産木材を積極的に活用する方針を打ち出したのも追い風だ
建材として耐震や防火の技術は進んでいる。
新国立競技場が木材多用のデザインに決定したことで、再び大建築にも木材が耐えることを証明したい。
県内の中山間地には宝の山が眠っている。
活用する技術と文化も併せて発信する好機だ
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