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- ID:
- 34542
- 年:
- 2015
- 月日:
- 1223
- 見出し:
- 彫刻家・稲葉朗さん 瞬間の輝き、木彫に
- 新聞名:
- 茨城新聞
- 元UR(アドレス):
- http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14508499080067
- 写真:
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- 記事
-
サッカーやバスケットボールなどのスポーツ選手をモチーフに、独自の木彫世界に挑む稲葉朗さん(35)=東京都在住。
現代性を加味した斬新な発想と丹念な刻みで、選手の躍動感をリアルに表現する。
木目を生かした筋肉の凹凸や、手跡が残る肌の風合いは、生命の輝きと体温を感じさせる。
木彫を本格的に始めたのは大学時代。
さまざまな彫刻表現を試みた中で、「手で触れている物がそのまま作品になる」ことに魅力を感じた。
「木はもともと、植物としての生命力を備えている。
そこに自分のインスピレーションを加えて、作品として新たな存在感を持たせたい」
サッカーやテニスなどスポーツは見るのもプレーするのも好きだった。
選手たちの瞬間の動きによって、戦況や雰囲気が一変する世界観を表現すべく、大学4年の時にモチーフに据えた。
素材には、主にクス、ヒノキ、イチョウ、ケヤキなどを用いる。
「スポーツ選手が躍動する姿は言葉にできない美しさがある。
手掛ける作品はプレーの瞬間を形にしているが、前後の時間の動きも想像してくれたらうれしい」。
さらに木彫への思いをこう続ける。
「木には造形の自由度や強度などさまざまな制限がついてまわる。
その範囲の中で、工夫を重ねて作るところに意
味がある」
二科展や県芸術祭を中心に作品を発表。
近年は中国、台湾など活動の場を海外に広げている。
今個展には、スポーツ選手のほか、若者の日常をモチーフにした作品など合わせて24点を出品。
サッカー選手のヘディングの競り合い、バスケットボール選手のシュートの場面、水泳選手の筋肉の盛り上がりなどを生き生きと捉えている。
また会場内に漂うクスのかすかな芳香が、木彫独特の空気感を際立
たせている。
(沢畑浩二)
■いなば・あきら
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