v11.0
- ID:
- 34471
- 年:
- 2015
- 月日:
- 1209
- 見出し:
- 木の名作椅子、デザインの秘密。
|フィン・ユール
- 新聞名:
- カーサ ブルータス
- 元UR(アドレス):
- http://casabrutus.com/architecture/14351
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
世界各国のデザイナーが手がけた木の名作椅子を紹介する、Casa BRUTUS.com × SHAWOODのコラボレーション企画。
第5回は北欧の木工家具の頂点、フィン・ユールによる《No.45 イージーチェア》です
伝統とは一線を画したデザイナーの造形力を、高度な木工技術が支えて誕生した《No.45 イージーチェア》
デンマークのフィン・ユールが1945年にデザインした《No.45
イージーチェア》は、数ある木の椅子の中で頂点と呼ぶのにふさわしい一脚だろう。
背もたれの上端から前脚の上部へと流麗な曲線を描く左右のアームレストは、しばしば“世界一美しいアームレスト”と評される。
そこから伸びる前脚や後脚などのパーツも、無駄のない滑らかなフォルムに成形されている。
また
シート部分が独特の構造によってフレームとジョイントしてあるため、座面が宙に浮いて見えるのも、同時期の他の椅子にない《No.45》の特徴だ。
重力から解き放たれたような感覚が、フォルムの優雅さをいっそう特別なものにした。
デザインの枠を超えて磨かれたユールの美意識と、このデザインを世に送り出
す礎になったデンマークの高度な木工技術が、彫刻的なフォルムとして自然に融合している。
格子状に天井に梁を表した〈シャーウッド〉のリビングルーム。
木の空間とウォールナットの床が、フィン・ユールの代表作と調和する。
フィン・ユール《No.45 イージーチェア》布/ライトグレー ウォールナット材 788,000円(ワン コレクション/IDC大塚家具 TEL 03 5530
5555) 撮影場所:シャーウッド新百合ケ丘展示場(TEL 044 959 3411)
ハンス・J・ウェグナーやポール・ケアホルムをはじめ、デンマークの家具デザイナーはデザインを学ぶ前に木工家具職人の修行を積むケースが多い。
しかしデンマーク王立アカデミーで建築を学んだフィン・ユールには、そうした経験がなかった。
そのため彼は伝統的な椅子の形態や構造に固執することなく、
自然の造形や抽象彫刻などからインスピレーションを得て、自由でユニークなフォルムを発想したようだ。
ユールのデザインを実際に製造するのは難易度が高く、一連の家具が世に出るには卓越した木工技術をもつ名匠ニールス・ヴォッダーの工房があったからこそとされる。
この工房は1970年に活動を終え
ているが、《No.45》も発表当初から長らくそこで作られていた。
彫刻的な姿に注目せざるをえないフィン・ユールの椅子だが、建築家として国際的に活躍した彼のデザインに、空間全体を見据える意識があったのは間違いない。
ニューヨークの国連ビルの会議場や、デンマークのコペンハーゲン郊外に残る自邸などで、彼のトータルデザインの才能が発揮されている。
空間
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