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- ID:
- 32348
- 年:
- 2015
- 月日:
- 0128
- 見出し:
- [定番物語]機能美と木のぬくもり
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/komachi/beauty/bnews/20150120-OYT8T50067.html
- 写真:
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- 記事
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デンマークの建築家、アルネ・ヤコブセン(1902~71年)のデザインした「セブンチェア」は1955年の発売から今年で60周年
世界で700万脚以上売れたベストセラーであり、基本的なデザインを変更していないロングセラーでもある。
イスに関心がなくても、カフェや美術館で見かけたり、座ったりしたことのある人は多いのではないか
「還暦」を迎えたイスだが、シンプルなデザインは今も古びない。
合板製の背もたれと座面が一体となり、それを金属パイプの脚で支えただけの簡素な構造。
ところが、発表当時、最新の木材加工技術を応用したデザイン史上の名作でもあるという。
デンマークの家具メーカー「フリッツ・ハンセン」がヤコブセンとともに、背もたれと座面が一体になった合板を3次元で成形する技術を世界で初めて実用化し、それをセブンチェアにも応用。
自由な形を作れるプラスチックが普及する前の50年代には、最先端の技術だったのだ
9枚の薄い板と、合板の強度と柔軟性を高めるためにインド綿を重ねて接着。
合板の厚さは約1センチ。
それを型にはめて成形することで、腰や背中の当たる部分が微妙な曲線を描き、体を優しく包み込んでくれる。
しかし、なぜ「セブン」? 背もたれ脇のシルエットが洋数字の「7」に見えなくもないが、メーカーによると「詳細は不明」。
製品番号が、商品名にそのままなったという説もある。
イスは日々の暮らしで最も身近な家具でもある。
近年は「腰掛ける」という目的に加え、自らの美意識を演出してくれる小道具として、若者や女性を中心にデザインに対する関心が高まっている。
実際、デンマーク、ドイツ、米国に次いで、日本でこのイスがよく売れるのだという。
使わない時は積み重ねて場所を取らずしまっておけ、背もたれと座面を一体化することで生産工程を省くことができ、量産にも適している。
座ることを追求した機能的なデザインながら、木のぬくもりも感じさせる北欧風のセンスも支持される理由なのだろう
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