v11.0
- ID:
- 33635
- 年:
- 2015
- 月日:
- 0805
- 見出し:
- 京の人今日の人:千本銘木商会常務、銘木師・中川典子さん /京都
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20150805ddlk26070578000c.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
◇木材産業の危機打破を 人材確保へ魅力発信中 中川典子さん(45)
今年秋に式年遷宮を迎える上賀茂神社(京都市北区)の楼門に飾られていた巨大絵馬「孝明天皇御幸絵馬」の復元に関わった。
長さ約7・5メートル、幅約60センチと「おそらく日本一の長さ」で、しかも一枚板。
復元も「一枚板で」となった。
約半年間、各地の山師(やまし)を訪ね、社員総出で全国を探し回っ
たが「それだけの長さの乾燥材の杉の一枚板など簡単には出てこない」と半ばあきらめた。
断りを入れようと神社を訪れた。
その境内で一本の電話を受けた。
「『奈良にあるかもしれない』というものでした。
まさに神様のご加護かと思いました」。
持ち主は近畿在住者で、祖父・9代目中川嘉兵衛とつながりのある人だった。
「譲り受けた時も、時をまたいだ人のつながりに感謝しました」と振り返る。
資格試験のない銘木師は、建築・木材関係業界の「長老」3人以上の許可を得て初めて名乗れる。
その許可を約3年前に得た。
全国でも珍しい「おそらく全国で初めて」の女性銘木師。
最近では上賀茂神社とコラボレーションした味の素ゼネラルフーヅのコーヒーの野点(のだて)ブースのしつらえにも関わっ
た。
このほかさまざまな業態の店舗や構造物に使用する木材を見立てるなど、銘木の裾野を広げる挑戦を続けている。
木材業界や林業は現在、次世代の担い手不足で危機的状況だ。
「私が表で発信することで、少しでも興味、関心を持ってもらえれば、若手人材が確保できるかもしれない」。
メディア取材や講演活動などを積極的に受けている。
業界には、露出することへの批判もある。
だが危機を打開するためにできることをする。
「龍馬の歌『世の人は 我を何とも言わば言え 我なす事は 我のみぞ知る』の心境です」。
今日も業界の未来を考えている
fff: