v11.0
- ID:
- 31830
- 年:
- 2014
- 月日:
- 1121
- 見出し:
- 思い刻む英国の古椅子
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW20141121011320002.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
我が家のリビングに、ウィンザーチェアを3脚並べて置いている。
ウィンザーチェアというのは、17世紀後半からイギリス各地で作られ始めた木の椅子。
尻形の窪(くぼ)みをつけた分厚い木製の座板に、丸棒の脚や背もたれなどが直接差し込まれているのが基本形だ。
シンプルで美しいデザイン。
頑丈で座り心
地のよい構造。
これらの特徴から、日本でもファンが多く、カフェやホテルなどでよく目にする。
昨年、「ウィンザーチェア大全」という本を共著で上梓(じょうし)した。
取材の過程で年代物の椅子に触れる場面が多々あった。
さらに古い文献を読み進めていくうちに、ウィンザーチェアの魅力に取りつかれていった。
そして、「どうしてもうちの家でも使ってみたい」という気持ちを抑えきれず、知り合いのアンティー
クショップから3脚も購入することになる。
そのうちの2脚は、百数十年前にイギリスで製作されたものだと思われる。
長年にわたって使いこまれてきた椅子は、存在感たっぷり。
少しぎしぎししているが、座る機能に支障はない。
肘(ひじ)置きや背棒の背中が当たるところは、塗装がはげてきている。
ニレ材の座面はお尻の摩擦によってすべすべになり、木目がはっきりと浮き上がって見える。
その風情から、この椅子を愛用して
きた人たちの暮らしぶりも感じられるのだ
木々に囲まれた場所にあるログハウスとの相性もよい。
これから何年の付き合いになるかわからないが、椅子たちに使い手の思いを刻み込んでいきたい
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