v11.0
- ID:
- 31453
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0924
- 見出し:
- 巻いてずらして変幻自在 ブナの木工品
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.asahi.com/and_w/fashion/SDI2014092460711.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
滑らかな木肌から透けてにじみ出る暖かな茜(あかね)色――。
独特の光を放つモダンな照明は、青森県弘前市の「ブナコ株式会社」が手がけるブランド「BUNACO」の製品だ。
国内有数の蓄積量を誇る県産のブナを使い、食器やインテリア用品を作っている。
創業は1963年。
水分が多く加工しづらいブナの有効活用のため、県の工業試験場が58年前に考案した「画期的な技法」(製造管理担当の小田桐美奈子さん)で、食器の製造を始めた。
ブナはかつらむきの要領で厚さ約1ミリの板にし、細長いテープ状に切る。
年輪のように幾重にも巻いた円盤状のテープに力を加えてずらすと、深さが出て器状になる。
古い木造の工房では、約20人の職人が働く。
工程はほぼ手作業だ。
2メートルのテープを何十本も、接着剤を使わずに緩みなく巻きつける。
巻いたテープに湯飲み茶わんを押し転がすと、平面がみるみる立体になっていく。
転がす場所と力加減で様々な表情が生まれる。
失敗しても元に戻せる。
「形は変
幻自在。
木材を削り出す方法に比べ無駄がなくエコ」と小田桐さん
食器だけを作ってきたが約15年前、突然売り上げが急落した。
倉田昌直社長は「何をやってもダメだった」と振り返る。
倒産寸前、工房でブナが西日を透かして赤い光を発する光景が、昔頼まれて照明を作った記憶と結びついた。
起死回生で作った照明は、国内の最高級ホテルが次々と採用。
ティッシュケースやいす、スピーカーと商品の幅は広がっている。
来年1月、パリの国際展示会で、最も注目度が高い場所での展示が認められた。
「転機になった照明を、欧州で本格販売するのが次の目標です」
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