v11.0
- ID:
- 31404
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0923
- 見出し:
- 新大臣のめざすは国産家具の輸出?
- 新聞名:
- BLOGOS
- 元UR(アドレス):
- http://blogos.com/article/95095/
- 写真:
- -
- 記事
-
遅ればせながらだが、農林水産相が交代した。
西川公也農相は、どんな林業関連政策を打ち出して来るだろうか
ちなみに林芳正前大臣の「農林水産省は農水省と略して林が抜けているが、心配ご無用。
林が大臣です」という決めゼリフはもう聞けない(笑)
前職の林氏は農政の門外漢であったが、今回はガチガチの農林族とされている。
ただし専門はあくまで農業であり、林業の話は出てこない。
また農協改革に熱心で、TPPも推進派だ。
おそらく林業も輸出も含めた攻めの姿勢だろうと思っていた。
西川農水相の記者会見で口にした林業系の話題は、「国産の木製家具の輸出拡大を検討する」である。
これは、意外というか盲点というか、想定外の視点からの言葉(^^;)
これまで国産家具の輸出なんて発想は、誰からも出ていないのではないか
2013年の日本の木製家具の輸出額は、22億4300万円だったそうだ。
輸出先は、台湾がトップで、アメリカ、韓国、シンガポールなど。
この金額、国の貿易としたら、ほとんど「その他の物品」扱いの小さな額だ
しかも木製家具の価格は、安くても数万円はする。
木工作家のテーブルなら数十万円はする。
つまり輸出点数にしたら、ほとんど問題外みたいなものである。
そもそも日本は家具の輸入国であり、国産家具の生産量自体がしれている。
その家具の中でも木製家具なんて……。
世界的に見ても、中国製や東南アジア製が席巻している。
ニトリだって、ほとんど中国製だろう。
さらに国産木製家具の材料となる木材の素性となると、さらに厳しくなる。
通常の家具は広葉樹材を使う。
とくに作家的な作品の場合は、ブナ、タモ、オーク、メープル、ウォルナット……いろいろあるが、大半が外材だろう。
輸出した家具も、その素材が国産材とは限らないのではないか。
輸出を増やすだけでは農林水産省の意味がない。
その素材に国産材を使わねば
ごく一部、国産のクリやブナも使われたり、針葉樹材の家具をつくるところもあるが、量的にわずかだ。
スギやヒノキでも家具は作れるが、あまりハヤリそうにない
輸入される家具材には、違法伐採が疑われる材も少なくない。
北朝鮮人が中国東北部や沿海州に出稼ぎに行き、そこで乱伐したタモが日本に入ってきているという情報も、以前あった。
果たして国産の割合はどれほどだろうか?
それにしても、どこから家具輸出の発想が生まれたのだろうか。
もしかして、住宅輸出を打ち出しても新味がないから、家具? これも素材を加工するわけだから6次産業化かもしれないが……
私なら、家具というより表具とか欄間など二次元の木工品を狙ったらどうかと思う。
これなら針葉樹材も活かせるし、日本の伝統工芸の一部であり、加工技術も職人もまだいる。
表具のなかでも、とくに障子は、複雑な幾何学模様を描くこともできる。
緻密な木材工芸に和紙と合体させたら、オリエンタル風で人気を呼ぶだろう。
あるいはステンドグラスとの合体とか、いろいろ可能性を感じる。
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障子のいろいろ。
欄間も、ドアや壁掛けなどに組み込む洋風デザインにしたら、欧米で受けると思うが。
神社彫刻のような彫り物もいい
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石の外装にはめ込まれた欄間
あるいはスギやヒノキの家具を開発して輸出するか。
イギリスでは、アーツ&クラフト運動というのがあって、その中でパイン材による家具がよくつくられた。
もう一つ、チェンソーアートのような作品も輸出産品にならないか。
手作業の木彫りより安く、カジュアルなモニュメントやインテリアになりそうな気がする。
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