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- ID:
- 31350
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0919
- 見出し:
- <天職ですか> 木工家具職人・松島周平さん
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2014091902000001.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
手に取ったのは、北海道で切られた樹齢八十年以上のヤマザクラ。
細かく詰まった木目が美しい。
節や割れはないか。
反りやねじれは…。
長さ二メートルの立派な木材をじっくり見定める。
「木取り」と呼ばれる、原材料の木材から家具の部材を切り出す作業。
粘りがあり、強そうな木は椅子の脚に。
木目が美しく、軽い木は机の天板に。
種類はもちろん、一枚ごとに形や表情が違う木材の特性を見極め、家具として最も輝き、長く生きる道を探す。
「間違えたら、取り返しがつかない。
最初の作業
がいちばん難しい」
長野県境の愛知県豊田市稲武地区に、同じ木工職人で妻の知美さん(36)と構える工房の屋号は「first-hand(ファーストハンド)」。
親から子、子から孫へ。
「世代を超えて手渡し続けられる家具を作りたい」。
樹齢百年近い国産の無垢(むく)材を使い、樹齢か、それ以上に使ってもらえる家具作りに励む
木が傷まないよう、椅子は金具を使わず、凹凸に加工した木材を組み合わせる。
机に金具のビスを使う場合も、天板は季節や使う環境で伸縮するため、はめ込む穴に適度な余裕を持たせる。
微妙な加減が家具の寿命を左右する。
長年使っても飽きず、どんな部屋にもなじむようデザインはシンプル。
よく見ると、子どもが当たっても痛くないよう天板や脚の角は丸くしてある。
夫婦で考えた「家族の真ん中にある優しい家具」のこだわりだ
名古屋市出身。
電気自動車を学ぼうと大学の工学部に進んだが、希望の研究室に入れずに断念。
卒業後はアルバイトをした北海道で、木工の高等専門学校に入り、技術を学んだ
帰郷後、地元の木工所で働きながら腕を磨き、二〇〇六年に独立。
高専の教員だった知美さんと結婚し、〇九年に「自然豊かな場所で子育てがしたい」と移り住んだ。
四歳と一歳の二児の子育てに励むイクメンでもある。
家具は傷がついたり、かさついても、手を入れれば深みが増し、より愛着が生まれる。
「大切に使えば必ず応えてくれる。
子育てと同じ」
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