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- ID:
- 30056
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0331
- 見出し:
- 国産割り箸、広がる使用
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/otona/news/20140331-OYT8T50205.html?from=ytop_ymag
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- 記事
-
国産間伐材を使う割り箸の普及に向けた取り組みが広がっている。
居酒屋や給食などで使われるほか、お土産物になる商品も開発された。
箸を通じて、森林の保全を訴える。
神奈川県厚木市の居酒屋「階きざはし」では昨年秋、国産の間伐材を使った割り箸に切り替えた。
店主の臼井秀明さん(62)は、国産食材の使用を薦める「緑提灯ちょうちん」の運動に加わってきた。
国産食材を80%以上使っていることを宣言する、星印4個の「緑提灯」を店の前に掲げている。
「食材だけでなく、徹底するなら割り箸も国産にしようと考えました」と臼井さん。
紙袋入りの箸は1膳3円50銭。
「森から川へ流れる栄養分が海を育てます。
国産間伐材の割り箸を使うことで、森だけでなく海の環境作りにも役立てばいい。
それでおいしい魚が食べられます」と臼井さんは話す
間伐進み森林保全へ
割り箸を販売するのが、NPO法人「樹恩ネットワーク」(東京)。
1998年から事業を行っており、国産の間伐材を使った割り箸作りを全国六つの障害者施設に依頼する。
主に大学生協の食堂で年間1000万膳が使われている。
しかし、大学以外ではほとんど使用されていないことから、一般の飲食店などに売り込みを図っていくことになった。
「緑提灯」を掲げる店向けにチラシで宣伝したところ、全国12店舗から購入の申し込みがあったという。
「目に付く場所で、国産割り箸を使ってもらえるよう努力していきたい」(同ネットワーク)
被災3県の間伐材を使った作られた「希望のかけ箸」
岡山県西粟倉にしあわくら村では今年1月から、小中学校の学校給食で、これまでのプラスチック製の箸を、地元の間伐材を使った割り箸に切り替えた。
同村は面積の95%が山林で、林業が主要産業になっている。
村で育ったスギを使い、子どもに地域のことを理解させようという意図がある。
福島県いわき市の「磐城高箸いわきたかはし」が製造するのは、岩手・宮城・福島3県のスギ間伐材を使った3膳の割り箸セット「希望のかけ箸」(税抜き500円)。
価格のうち150円が義援金で、いわき市や岩手県陸前高田市、宮城県栗原市に50円ずつ寄付される。
4年前に起業した社長の高橋正行さん自ら間伐材の丸太を仕入れている。
仕上げで1膳ずつヤスリで磨いており、なめらかな手触りが特徴だ。
おしゃれなパッケージで、土産物としても好評。
優れたデザイン製品に与えられる「グッドデザイン賞」を昨年、受賞した。
福島駅の物産館や東京・八重洲のアンテナ
ショップ「福島県八重洲観光交流館」などで扱っている。
森林を保つためには、樹木を間引く必要がある。
間伐した木材(間伐材)は建築現場の足場などに利用されてきたが、徐々に使われなくなった。
新たな用途として今、割り箸が注目されているという。
林野庁によると、年間の割り箸輸入量(2012年)は約186億膳に上るのに対し、国内生産量は3億8400万膳にすぎない。
国産割り箸は輸入割り箸の3倍程度の価格となり、普及は進んでいない
東京農工大准教授の佐藤敬一さん(森林資源)は「間伐材の割り箸が活用されれば、森の間伐がスムーズに進み、自然を守ることができる。
林業や環境問題への関心を高める効果も期待できる」と話している
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